馬入日記
【マラガ日記:2月2日】「ボールを支配するのではなく」
馬入での始動から約20日、対話は日々深められている様子だ。「チームが目指しているサッカーに入るためには普段からのコミュニケーションも必要」積極的な声掛けが印象的な野田隆之介は言う。
「去年から在籍している選手もいるなかで、僕は新参者。チームメイトのことをまだよく知らないし、チームメイトも僕のことが分からないと思うので、伝えるべきことはしっかり伝えようと意識しています。つねに考えさせられるサッカーで、体も頭も使い、すごく楽しい」
2月2日、キャンプ3日目は二部練習が行なわれた。体をほぐしたあと、午前のトレーニングではポジションごとに分かれてコンビネーションを高めた。ルールを設けた紅白戦を含め、1タッチを織り交ぜながらテンポよくパスを繋ぐなかで、ゴールに向かうプレーの大切さをあらためて確認し、あわせてフィニッシュのパワーも追求した。
野田と同じく初めて湘南スタイルに取り組むシキーニョは、これまでとの違いに触れつつ意欲的に語る。
「ブラジルのサッカーはボールを持って考える時間がありますが、湘南はボールを持ったらつねに前に前にというやり方なので、そこのリズムはまったく違います。ただ、サントスでプレーしていたときのサッカーは湘南のスタイルと似ているところがあった。難しさはまだありますが、スペインに来てから日々みんなと同じ時間を過ごすことによって自分も少しずつ慣れてきたので、これから先もっとよくなると思う。この機会をくれた湘南に感謝しているし、自分の持てるものを100%出してチームをサポートできるように頑張っていきたい」
雨交じりの空のもと、午後のトレーニングではセットプレーを含めて守備の戦術確認を行なった。ボールを支配するのではなくゲームを支配するのだと、あるとき語られた指揮官の言葉が先手を奪う守備にシンクロする。
「明日から試合が始まるので、どこまでできるか楽しみです」そう口にするのは表原玄太だ。
「ミーティングで自分の映像を見ても、プレーしているなかでも、まだダメな部分がある。いまチームとして取り組んでいる守備のところを試合で出し、且つカウンターから得点を取る形をひとつでも多くつくれたらと思います」
明日3日には韓国1部の水原三星とのトレーニングマッチが予定されている。実戦を通じて得られる気付きは、チーム個人ともに今後の貴重な糧となるに違いない。
(TEXT:隈元大吾/マラガキャンプ中は隈元大吾氏によるレポートを毎日お届けします)