馬入日記
【マラガ日記:1月31日】トレーニング開始。「ピーンと糸が張ったような雰囲気のなかで」
日本を離れヨーロッパでキャンプを張る意義について、曺貴裁監督は言う。
「日本にいたら対戦できない相手と試合ができる。異文化に触れることで、なにか自分をたくましくできる材料を学んでもらいたい。仮にまったく通用しなかったとしても、この時点で世界との差を感じられることはひとつの財産になる。また暖かい気候のなかで、1年を通して筋肉系の怪我が少なくなるよう体をつくっていく。時差や移動時間だけを見たらロスだけど、それを補って余りある体験ができると思っています」
およそ24時間の移動を経て、チームは1月31日、スペインはマラガでトレーニングを開始した。穏やかな日射しのもと、午前はミーティングに始まりジョギングやストレッチ、リフティングなどで約1時間汗を流した。午後はゲームを意識したパス&コントロールやクロスの守備から攻撃、独自ルールを設けたハーフコートの紅白戦などを行なった。
ボールを蹴る音と選手スタッフの声だけが辺りに響く静かな環境に、「ピーンと糸が張ったような雰囲気のなかで集中できた」指揮官は振り返る。
「去年降格してしまったというマイナスの印象が選手の内にあるなかで、これから取り組んでいくことやクラブ、また選手自身に対してポジティブなイメージを持ってもらいたかった。自分にとって未知の世界をポジティブに考えることで、いかに乗り越えていけるか。それも含めて向き合っていきたい」
キャプテンの高山薫は、一昨年のトルコキャンプを引きつつ10日間を見据える。
「以前トルコに行ったときにすごくいい経験ができて、それがリーグ戦にも活きた。今回もたくさん試合ができるし、そのなかでしっかり守り切ることと決め切ること、チャンスをつくるだけでなく大事なシーンで得点を取る部分を高められれば結果に繋がる。相手のやるサッカーがまったく分からないなか、自分たちで判断することも大事。いい内容を積み上げたうえでしっかりゴールを奪い、守り抜いて結果に表すことができたらと思います」
今キャンプではロシア1部のロコモティフ・モスクワや中国1部の北京国安などを相手に5試合が予定されている。世界の強豪との実戦を通じ、得難い経験を体に刻む。
(TEXT:隈元大吾/マラガキャンプ中は隈元大吾氏によるレポートを毎日お届けします)