ボイス
【ボイス:2016年12月23日】高山薫選手
キャプテンとして足りなかったもの
今シーズンは、キャプテンを務めている。
「年末にキャプテンをやらないかって曺さんに言われて、ちょっと考えさせてくださいって言って。最終的に引き受けたのは、単純に自分の成長になると思えたから。すごい経験になるし。小さいときはやってましたけど、ずっとキャプテンっていうキャラクターじゃなかった。大学とかではやってないし。だから、責任ある仕事を引き受けるのは自分の成長になるし、チャレンジするのも大事だなと思って引き受けさせてもらいました」
結果として、苦しいシーズンを歩むことになった。
「降格したとき、亮太、すごい辛かったんだなって思いました。リーグが終わったときに。一人でキャプテンやって、大変だったんだろうなと。もちろんみんな辛いんですけど」
2013年、降格したシーズンにキャプテンを務めていた永木選手に思いを寄せる。そして、立場を変えて降格を経験したからこそわかるその違い。もちろん選手全員一人ひとりが皆、チームを支える自覚と責任は持っている。しかし、キャプテンは毎年一人だけ。それだけキャプテンが背負うものが大きいということだろう。
「足りないことだらけだなっていう。キャプテンとしてはまだまだ未熟だったなというふうに感じてます。何を残したとか、自分でわからないし」
理想のキャプテン像はないという。ただ、常に自分の100%を注ぐことを考えた。
「自分らしく。毎日、100%練習するとか。そういうことがすごく大事だと思っているけど、毎日100%って、すごく難しい。なんでもそうだと思うんですけど、どんなに体調が悪くても、サッカー以外で嫌なことがあっても、ピッチに立ったら100%でやるということが自分は大事だと思っていた。でも、そういう意味では一喜一憂してしまったときもあったから。やっぱり自分らしさっていうのをしっかり出していくことが大事だなと思いました」
100%で臨んでいるか、常に自分に問い続けてきたからこそ100%の難しさがわかる。そんな経験を重ねたシーズンだった。そうした経験のなかで今、一つの課題に向き合っている。
「うまく行っているときはなんでもうまくいくと思うんですよ、チームも勝つし、自分も調子いい、みたいに。問題は逆のとき。チームが勝てないときに、チーム全体でミスを恐れたり、慎重になってしまったり。それで湘南らしい攻撃っていうのがなかなか見せられなかったと思うんです。自分自身もここでボールを失ったらピンチになるなとか、失っちゃいけないとか、そういう余計なことを考えていたように思う。だけど、そういうときでもわかりやすく言ったら、俺一人だけでもミスを恐れないでガンガン行く、みたいな。そういう感じを常に出す。今思うと自分らしく突き抜けるのは、大事だったかなと思います」
空気にのまれない強さ。勢いのあるプレーでチームの空気を変えていく。そんな突き抜ける姿勢が高山選手らしさの表現だと気づいた。
「キャプテンをやるからには、みたいなことを考えてしまうこともあったのが、ダメだったかなと思ってます。本当に、ひたむきに頑張っているとか、がむしゃらにやっているとか、そういう姿だけを見せるんだと思ってやったほうが、自分もサッカーが楽しめて、観ている人にも楽しんでもらえるサッカーができたのかなと思います」
変則的なスケジュールが組まれている今季は、幸い天皇杯も勝ち残り、こうした反省を活かすチャンスがまだある。
「チームがなかなか勝てなくて苦しかったし、そういうなかで葛藤はずっとあって、いろいろ考えたりして自分が未熟だなというのは感じたけど、この経験は次に繋げていかなければいけないものだと思う。例えば来年、自分がすごく成長して、みんなからすごく良くなったと言われたとしたら、それは今年の経験が生きたということ。今年の悔しかった経験、自分が全然足りなかったなって思うところを成長につなげてこそ、今年のこの苦しかったシーズン、キャプテンとして全然足りなかったという思いを払拭できるというか。
今、天皇杯を勝ち進んでいて、すごくいい形でサッカーができているんで、もうここからしっかり成長して次に繋げていくっていうのが、見てくれている人にとっても、自分にとってもすごく大事なことだと感じています」
あの10連敗も降格も、より高みを目指すための糧に。すでに来シーズンへ向けてのスタートは切っている。