ボイス
【ボイス:2016年10月11日】齊藤未月選手
小学校のときの夢は高校生になって目標になった。
今はやっと、スタートラインに立ったところ
チームは苦しい戦いを続けているが、
結果が出ない試合のなかにも希望が見える。
それは10代の若手選手たちが放つ光。
なかでも湘南スタイルをDNAに刻み込んだ齊藤未月選手のプレーは、
後がない戦いに慎重になりがちなチームに勇気の火をつける。
これまでの歩みを振り返るとともに、見据える未来を明かしてくれた。
試合ごとに感じる手応え
シーズンも終盤に入り、リーグは佳境を迎えている。悔しいことにチームは下位を争う状況だが、その中で気を吐くのが10代の若手選手たち。怖いもの知らずの若さを武器に、ただチャレンジあるのみと前への仕掛けにこだわるプレーでチームを勇気づけている。
その一人が齊藤未月選手。縦への意識を高く持ち、前へ向かう姿勢を貫く湘南スタイルをDNAに刻みこんだアカデミー育ちの期待の星だ。
「例えば、真ん中でボールを受けてターンして前へ運んでパスしたり、パスを出して前に出ていくというのは自分のいいところなんですけど、それは通用していると思いますし、どんどんやっていかなければいけないとも思いますし、もっと磨き上げる必要があると思います。でも、今年はやっていて自信になってます。もっともっと磨き上げたらチームのためにもなりますし、もっとチャンスを作れるなっていう手応えはあります」
高校2年生だった昨年に2種登録され、天皇杯2回戦で公式戦デビューも果たした。今年は、キャンプから参加してシーズンの始めから戦力としてプロ契約の選手とともにスタートラインにつき、物怖じしないプレーぶりで出場機会をつかみ、リーグ戦5試合、ヤマザキナビスコカップ(現ルヴァンカップ)のグループリーグに5試合、天皇杯1試合に出場している。こうした実戦を積むなかで感じるのはポジティブな手応えだ。
「曺さんからは、いいところをどんどん出すことが一番大事で、それをやり続けて、磨き上げればチームのためにもなるし、自分にとっても最強のストロングポイントになると言われました。それを練習でも試合でも出さないと意味がない。
課題は、視野が狭いっていうか。もっと遠くを見られた方がいい。それと、自分は17歳ですけど、もっとゲームをコントロールする、ボランチで出たとしたら、ここは仕掛ける時間帯、ここは落ち着く時間帯というのを見極めるっていうのもそう。あとはキックの質だったり、ゴールだったり、ラストパスの精度というのは課題だと思います」
ストロングポイントを前面に押し出し、果敢に前を向くプレーに加えて目立つのがゴールへの意識の高さ。サッカーが点の取り合いをするゲームだという本質を突いたプレーが際立つ。
「それがいいところかもしれないです。若いですし、失うものは何もないですし。積極的にやるっていうのは、それが特徴なので出したほうがいい。特に途中から出たときは得点が絶対に大事。試合ごとにその場に応じた仕事があると思いますけど、勝っていたらさらに得点を狙いつつ失点は絶対にしない方がいいし、負けていたり同点だったら得点を奪いに行かないといけないし。交代選手はそういう勢いを出していかないといけないですから。先発で出たとしても、点を取らないと勝てないスポーツですし」
これまでリーグ戦でスターティングイレブンに名を連ねたのは1試合のみで、局面を変えるために途中投入されることの方が多い。そうした経験を積むなかでも齊藤選手は、途中から試合に出ることの意味もよく理解している。なぜなら曺監督は常に交代選手、あるいはバックアップメンバーの重要性を説いているからだ。そういった指導のせいか、齊藤選手からはよく「チーム」という言葉が聞かれる。
「個人も大事ですけど、『チームの一員として』というのが大事というのは、曺さんによく言われてます」
今後のリーグ戦に向けてという意味では、個々の選手が持てる力を出しきるとともに、チームが一丸となって戦うことが必要だ。
「チームの雰囲気は悪くないです。本当にあとは得点を取るだけだと思います。
自分のストロング、ボールを奪って前に行くところは要所要所出せていると思うし、推進力を持ってやったり、球際の部分っていうのはチームとしてもできていると思う。もっとやらなきゃいけない部分はあると思うけど、自分も前で出たときに得点を取れてないし。その部分はチームとしても個人としても高めていかないといけない」
なかなか勝てない現状は続いているが、選手たちは前向きだ。
「勝てていないけど、サッカーを変える必要はないですし、やってきたことが間違っているとも思わない。このサッカーが通用してないかって言ったら、絶対に通用していると思いますし、本当にあとちょっと、というところまできてる。残り試合、本当に全部勝つ気持ちで、全員で取り組んでいきたいと思います」
選手全員で。残り試合は、ベルマーレに関わるすべての人が一丸となってこそ、乗り越えられる壁だろう。