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【ボイス:2015年12月21日】永木亮太選手 [3]
今シーズン、個人的に掲げていた目標は5得点と6アシスト。2013年に4得点だったことを踏まえ、それを超えたいという思いから決めた。結果は3得点だったが、スーパーなフリーキックで挙げた2得点はたくさんの人の記憶に残るゴールとなった。いよいよ自分の武器として確固たるものになってきたと言えそうだ。
「今年はフリーキックで2点決めましたけど、今年すごく上がってきたので、本当に自分の武器にしていいと思っている。それは継続的に来年、再来年ともっともっと精度を上げていければなと思っています」
フリーキックは、選手によって様々な特徴があり、蹴り方やボールの回転のかけ方などにそれぞれの工夫がある。永木選手が蹴るのは縦に弧を描くボールだ。
「落とすボールはもうずっと蹴れるので、それは自信を持っていたんですけどやっぱりああやって決めることによって本当に自信がつくし、周りの選手も蹴らせてくれるようになる。そういうのって本当に気持ち的に大きいんです」
今シーズン決めた2得点は、ともにゴールマウスを正面に捉える範囲ながら30メートル弱と距離としては難しく思える微妙な距離だった。
「あの距離が多分ギリギリ狙えるかなというところ。ボールを落とせるから近い距離でも壁を越えてしっかり落ちてくれれば枠には入ると思うから、その範囲内だったらペナルティエリアの幅で多分どこからでも狙えると思う。
マリノス戦に関しては流れも悪かったし、攻撃の形もまったく作れなかったので、セットプレーで点が取れると本当に流れが変わるんだなって改めて思いました」
強靭なバネで弾いたような力強い弾道のフリーキックがどのように編み出されたのか気になるところ。どんな練習しているのかを尋ねると、落とすボールを蹴るきっかけとなった川崎フロンターレのアカデミー時代のことを話してくれた。
「いつだっけかな? ユース……高校生だったら高1ぐらい、中学生だったら中3ぐらいのとき、フロンターレのアカデミーで一緒だった一つ上の木村祐志選手、今、徳島(ヴォルティス)にいるんですけど、落とすボールが蹴れたんです。木村さんは右足も左足もキックの精度が高くて、コーナーキックや横からのフリーキックの精度とか、合わせるボールもピンポイントで上げられて、すごいんですよ。で、『それ、どうやって蹴るんですか?』って聞いたら『こうやって蹴るんだよ』って教えてくれて。そこから真似して練習するようになったら、『永木、蹴れるじゃん』っていうことになって。そこからずっと蹴れてはいたんです。蹴れてはいたんだけど、入らなくて(笑)。
だからプロに入るまで、大学のときもフリーキックで点を決めたことなんてないですし、むしろ蹴らせてもらえなかったぐらいだった。蹴り方には自信があったけど、点が入らないと本当の自信にはならないし、周りの選手からも譲ってもらえないので。でもプロに入ってちょいちょい点を決めるようになってから、ちょっとずつ蹴らせてもらえるようになって……って感じでしたね。
木村さんがいなかったらたぶん今、あのフリーキックは蹴れてない。でもそうは言っても、めちゃくちゃ指導されたわけじゃなくて、ちょっとコツを教えてもらったぐらいですけど。たぶん本人も覚えてないと思います」
アカデミーで過ごした日々の、本当に些細なやり取りだったのだろう。しかし、サッカーに強い気持ちを持つ先輩たちから受ける影響はやはり大きなものだったようだ。
こうして習得した蹴り方だが、永木選手のキックは筋力もまた大きなポイントだ。
「筋力半分、蹴り方半分だと思います、多分、内転筋が強いんだと思います。あの蹴り方って内転筋をすごく使うんで。最近は調整もしているし、筋力もついたのでそういうことは無くなりましたけど、蹴り始めた頃は蹴りすぎると筋肉痛になってました」
成長期の身体にはやや負荷が大きい蹴り方だったようだが、積み重ねてきた成果がここにきて実った。
「あの距離から決められるようになると相手にもプレッシャーになる。あの辺でファウルしちゃいけないみたいになるからチームとしてもすごくいいと思う」
練習を重ねてきた成果も得点という結果を得てこそ、初めて自信になる。自信を持って蹴ればさらに得点という結果を呼びやすくなる。好循環を得たフリーキックは、ますます磨きをかけたい武器となった。