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【ボイス:2015年12月21日】永木亮太選手 [2]
勝って負けて引き分けて。それでも2013年のときの2倍以上の勝ち星を挙げ、年間8位まで勝ち点を積み上げられた。リーグで対戦する2戦ともに勝てなかったチームもあるが、リーグ上位のチームに十何年ぶりの勝利や勝ち点をあげることもできたシーズンだった。1年の戦いを踏まえて永木選手はやはり3月14日に開催された第2節アウェイの鹿島アントラーズ戦の勝利が大きかったと振り返る。
「鹿島のレベルの高さにちょっとびっくりした部分があるくらい内容は良くなかったんですけど、結果と鹿島相手に逆転できたっていうのはやっぱり自信になるので。あの試合に負けていたら今年1年どうなってたかちょっとわからないくらい、自分の中ではポイントになる試合だったなと思う。あの試合で勝てて、次引き分けて、あのあたりの3試合で負けなかったっていうのは、やはり鹿島戦がすごく大事だった。鹿島戦で負けていたらもしかしたら崩れちゃっていたかもしれない」
ところがその後に続くFC東京戦(4月12日開催第5節)、ガンバ大阪戦(4月18日開催第6節)、横浜F・マリノス戦(4月25日開催第7節)で3連敗を喫した。
「まさにJ1らしいチーム、3つ。チームとしての力もあるし、クラブも大きいし。その3チームに3連敗したことで『このままじゃダメだぞ』っていう話をチームの中でもしたんですけど。そのときに1回こう、失いかけていた自信をみんなでカバーしながら、薫だったり、ツボさんだったり、ヨシさん(藤田祥史)や征也くん(藤田征也)もそうですけど経験のある選手が引っ張ってくれて、選手だけで話し合おうとか積極的にミーティングの場を作ってくれて、そこで『このままじゃダメだ』といいう気持ちになれたのが今シーズン一番大きなところだと思います。そこで(サガン)鳥栖戦(4月29日開催第8節)で勝てて、そこから巻き返すことができたんです」
その後のリーグ戦では、連敗は1stステージ終盤の一度だけ。負けてもその雰囲気を引きずらずに次の試合へと気持ちを切り替えられるようになっていった。1stステージの結果は10位。
「妥当な順位かなというのが正直なところ。10位だと2ndステージでもっと上に行ける順位だし、かといって残留についても安心できる順位ではない。自分たちの力をうまく出していけば一桁を狙っていけるなっていう気持ちだったので順位については深くは考えなかったですね。今までにない経験とか手応えは1stステージ終了時点で掴んでいたので、それを2ndステージでも維持しつつ、1stステージよりもちょっとでもいい流れを作っていきたいなというのはありましたね」
2ndステージでは、1stステージより勝ち星を一つ増やし、黒星を二つ減らし、リーグでも上位を争う柏やFC東京から勝ち星を挙げた。
「自分たちが強いと思っている相手に勝てたことは一番の自信になりますね。『勝ち』というのは本当に何にも代えられない自信につながるし、うれしい気持ちも強い相手の分だけ大きくなる。そういうのって本当に大事だなって思って。2ndステージは特にそういう相手に勝てたので、みるみる自分たちの自信が増していった。自分も含めて選手みんなの自信につながったと思います」
一方で2戦とも敗戦を喫したチームもある。また、サンフレッチェ広島とは1stステージとナビスコ杯のグループリーグでの対戦は引き分けていたが、最終節に5失点し、2ndステージ優勝と年間1位の座の獲得を目の前で見ることになった。
「広島と浦和(レッズ)は特にポゼッションがうまくて、自分たちがプレッシャーに行っても外されて。そういう相手に対して自分たちはまだ勝ちきれないというか、ちょっと後手を踏む。個人的にも広島と浦和とやる時はいつもパフォーマンスが良くなくて、今年も良くなかったんで悔しい思いがすごく残っています。そういう相手に対しても自分たちのスタイルをぶつけてもっと手応えのある試合をしなきゃいけないっていうのは今年も終わってからすごく思った。今年は残念ながらできなかったですけど、こういうチームに勝てるようになっていけばさらに上げっていくと思います」
広島も浦和もフォーメーションは、ベルマーレと同じ3ー4-3。しかし、選手の配置は同じでもサッカーのスタイルとしてはまったくの別物だ。
「広島と浦和は一人ひとりのポジションが決まっていて、あまり流動的ではないんですけどそのポジションでしっかり役割がある。フィジカルも高さもあって強いし、もともと一人ひとりが持ってる技術も高いからまずボールを取られないので、そこでプレッシャーを外されて。自分たちとは本当に真逆のサッカーをしている相手。自分たちは自分たちのサッカーを信じてずっとやってきているんで、真逆のスタイルの相手に完敗していることが本当に悔しい」
5失点した最終節については
「あれは完敗でしたね、本当に。
モチベーション自体は自分たちも高く保っていたのでそこは言い訳にはしたくないですけど、あの試合は多分向こうはすごく調子が良かったと思う。本当に最後の精度がすごいなって思いましたね。前半の得点パターンだったり、『ここを決めきるんだ』っていう……広島の今季のベストゲームじゃないかっていうくらい良かったかなって思うんですけど、でもすごかったですね、決定力だったりパスの精度だったり。意思疎通もできていたし、みんながみんなシンクロして、ボールも取られないし。本当にすごいなと思いました」
リーグ戦13勝12敗9分のうち、13の勝利には上位チームから得た勝ち星もあるが、12の敗戦には同じチームに2度負けた黒星もある。勝利した相手にも強さを感じ、負けたチームにはその通りの差を感じることがあったシーズンだった。
「嫌と感じたのは最終節の広島。あれは本当に嫌でした。一番最近で印象深いっていうのを抜きにして一番嫌でしたね。強さを感じたのは鹿島。2連勝したんですけどやっぱり強かったです。最終節の広島、前期後期の鹿島、浦和もやっぱり強かったと思います。あとはガンバもそうですね」
強い相手と戦いながら感じたのは、そういったチームの共通点。どのチームも中盤に日本代表に招集されることも多い名だたる選手がいるチームだが、永木選手はそういったチームの強さをボランチではなく他のポジションの選手に感じたという。
「僕はどっちかというと、中盤の選手の一つ前のポジション、4-4-2だったらボランチの二人よりミッドフィルダーの左右の選手、ここのポジションの選手が、鹿島とか広島とか、浦和もそうですね、そこにいい選手がいるチームが強いなと思いました。
ボランチをやっていると1枚下がるのでその選手とのマッチアップも多いんですけど、1.5列目の選手がしっかりボールをキープできて走れるチームですね。ボランチの選手については、もうある程度分かっているし、自分も負けてないと思っています。それよりも左右のミッドフィルダーが前に出て攻撃になったときにいろいろアイデアを出せて、シュートだったりアシストだったりできる選手がいるチームが強い。広島だったらこの間、清水航平選手にもやられましたし、ミキッチ選手は縦が多いですけど武器になる。鹿島なら遠藤康選手、カイオ選手とか。そっちの方が印象深いです」
真っ向勝負を挑んだからこそ、強さの理由を直接肌で感じとることができた。そのなかで得たものは目には見えなくても選手一人ひとりの経験となって蓄積されている。この成果が来シーズンへと繋がっていく。