馬入日記

【馬入日記:11月30日】曺貴裁監督、2016シーズンも湘南の指揮官として。

151130-1本日、曺監督の2016シーズンの続投を発表しました!
ずっと気を揉んでいたというサポーターの皆さんもたくさんいらっしゃったことと思います。クラブにも日々たくさんのメッセージが届いていました。
発表後は、一時公式サイトが繋がりにくくなったほど。そして本当にたくさんの歓喜の声が届きました。ありがとうございます。

今日の馬入日記では、来季もベルマーレで指揮を執るという決断をした曺監督の、囲み取材でのお話をお届けしたいと思います。(尚、リリースのコメントはこちらを)

今回、正式発表にあたり、様々な新聞報道もあったことから(事前の報道にあったことは、監督からはお話していないのですが…)、しっかりと真意をお伝えしたいということで、練習はオフの日でしたが囲み取材が行われました。

まずは監督からこのように報告が。

「結論から言いますと、2016シーズン、湘南で監督をさせていただくことを決めました。去年はおそらく11月13日に続投の発表をさせてもらって、選手も契約更改の時には、監督が決まった中での話だったので進めやすかったと思いますが、今シーズンは約2週間ほどずれてしまって、選手にも、記者の皆さんにも本当に迷惑をかけたなと思っています。そこは申し訳なく思っています。
結論がこの時期まで延びたのは、決まっていたのを延ばしたということではなく、先方との関係もありましたし、来年湘南でやることと他のチームで指揮を執ること、一度離れて勉強することの3つの選択肢があった中で、そのすべてを一度、平たいテーブルにのせて考えました。いいお話を他からもいただいていましたし、湘南からもぜひやってもらいたいという気持ちは本当に言ってもらっていたので、そこの決断に少々時間がかかったということでご理解いただければと思います。
湘南に関しては、僕は来季で育成も含め12シーズン目になりますが、いいところ、悪いところ、やらなければいけないところ、逆に続けてやるべきところなどは他の誰よりも分かっていると思うので、来年、シーズンが終わった後に、ああしておけばよかったこうしておけばよかったと後悔を残したくない。そのためにクラブと調整を続けながら話してきたんですけど、今年J1で8位になったということが、最高のものに終わらないように、来年また“積み上げた湘南スタイル”を見せていかなければいけないと思います。
いつも言っていますが、Jリーグのレベルの向上が日本代表や選手の価値の向上に繋がっていくと思うので、このオフにそういった勉強も含めて、自分の引き出しを増やす努力をして、また選手と一緒になって来シーズン戦いたいと思います」

そして、以下記者の皆さんからの質疑応答です。

–たくさん話はきていたと思うが、湘南で続けるということの決め手となったのは?

本当に有難いお話をいただいて、悩んだというか、悩みはしなかったですが本当に考えました。熟考に熟考を重ねたのですが、そういうオファーをもらうというのは、決して自分が監督として一人でやったことではなくて、本来であれば選手やスタッフみんなが評価されなくてはいけない。評価されるべきものが僕に集約されているような感じがあったので、自分は地に足をつけて考えなければいけないと思っていました。
他のチームがそうじゃなかったということでは全くないんですけど、湘南が一番僕という人間を必要としてくれたんだなということを、直観的なものを含めて感じた。それがすべての理由です。

–いつ決断したのか?

2、3日前ですね。僕はクラブに長いので、残ることで本当にクラブの成長を促せるかということをもう一度確認したかった。もしオファーがなくても、僕はそう考えたと思います。それは毎年のことなので、オファーがあったから考えたのではなくて、オファーがなくてもおそらく来季やるべきかどうかというのは、同じように考えたと思います。

–熟考したというのは、当然条件、もしくはJ1かJ2というのは関係があったか?

いや、それはなかったですね。J2は行きたくないとか、そういうことは全くなかったです。チームのコンセプトやポリシー、自分に何ができるかということを考えました。もともと僕はトップの監督をやりたくて指導者を始めたわけではないので…。そういう言い方をしたらトップの監督になろうとしている方に、変に聞こえるかもしれませんが。ただ、それはまったくなかったです。
先ほども言いましたが、オファーをもらったというのは、これまで自分一人でやったことの結果ではなく、目に見えにくいところでみんなでやってきたからこそ。
有難いお話はいただきましたが、条件的に合わなくてとかではなく、自分の中で整理して考えた時に、シンプルにもう一度湘南で頑張ろうと思えた、ということです。

–U-22日本代表との練習試合の時はどのような気持ちで?

あの時は、正直まだ決めていなかったです。日本のオリンピック出場のために、我々ができることを協力しよう、と。シーズンが終わってあの時期に試合をするのって難しいと思うんですが、選手たちはその中でよくやったと思います。
グラウンドにいる時は自分自身のことは考えなかったですね。

–というのも、練習試合ではベルマーレの今季のサッカーをやったというよりも、その先が見えるようなサッカーをやったように見えたので。

それは少しありましたね。やるなら、悪い意味で同じことをやってはいけないと思っていました。それは今年だけじゃなくて毎年そうで、昇格した時も降格した時も同じように思っていました。

–シーズン終盤にかけて右肩上がりになっているように見えたが?

そうですね。2年前のJ1と違ったのは、選手たちが攻撃の時には力を出せるんですけど、こういう展開になったらダメになるとか、こういう展開だといいけどこういう展開だと押されてしまう…という、色がはっきりしすぎてしまったんですけど、今はその時よりは大人になったと思います。悪い時間帯でも、最低限やるべきことで失点しない、とか、いい時間帯で取れなくて、そのあとの悪い時間があったとしたら、その時間をしっかり我慢して次のチャンスを待つとか、ゲームを90分間のデザインで考えられるようになったのが大きな成長だと思います。
そういう意味では、このチームにはまだまだ成長の伸びしろがあるなと思っています。

–残留し、次に目指すものは?

当たり前ですが、優勝しても残留だし、15位でも残留なんですよね。2017年のJ1で戦えるように、ひとつでも順位を上げていくということは間違いないです。
その中で、例えば今までナビスコの決勝をテレビで見ていて、すごい遠い世界だなと思っていた選手が、ナビスコの決勝やチャンピオンシップを戦っているチームが、自分たちが今年勝った相手も、勝てなかった相手もいる中で、そこに立ちたいという気持ちを夢から現実にしていく時だと思う。今の時点では、上位のチームよりはその可能性は低いかもしれないですが、夢から現実にしていく作業、トライをしていかなければいけないと思っています。

–サポーターからもたくさん声をかけられたと思うが?

本当に大きく温かい声援をもらい、いろいろなところで来年も続けて下さいと言ってもらっていたんですけど、毎年毎年僕はチームに対して、何ができるだろうということを考えながら指揮を執っているつもりなので、そういう風に言っていただいたことがすごく有難かったと同時に、毎年“続けて下さい”と思ってもらえるようなチームにしなければいけないなと感じながら、その言葉を受けていました。
来年はさらに、サポーターの皆さんの目は厳しくなるのかなと想像してます(笑)

–来年のイメージは?

例えばひとつは、選手のコンバートですよね。ひとつはシステムにももう少し幅を持たせていく。戦い方を変えるわけではなく、戦うスタイルは底辺にありながら、そのバージョンを変えていくということは、選手の質も含めてやっていかなければいけないと思っています。
今までだと、システムを変えることは、底辺が変わるようなイメージを持たれがちですけど、どういうシステムであっても、底辺は持続させながら、相手の形によってバリエーションを増やしていくというトライをしなければいけない。結果的に、トライをしなくてもいい時もあるかもしれないですが、幅を広げることはしたいと思っています。
そのためにも、今回12月にドイツに行きますが、自分の中では近年にないくらい楽しみなんです。自分がそういう風に思っているので、なんとなくただ見ようと思って見るのか、ヒントを見つけようと思って見るのか、ここは大きなポイントだな、と。ワインばっかり飲んでちゃダメだなと思ってます(笑)

以上、今日の囲み取材での監督の言葉でした。

リリースのコメントにもあったように「溢れ出るチャレンジ精神と、みなぎる一体感で更にチームを成長させたい」という監督の想いのとおり、さらなるチャレンジのシーズンに。
ぜひ、2016シーズンを楽しみに!
引き続きのご声援、よろしくお願いします!