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【ボイス:2015年10月14日】高山薫選手 [2]

柏で学んだサッカーインテリジェンスと プロとしての心構え

 柏レイソルで過ごした2014シーズン、高山選手はしっかりと自分のポジションを確保し、リーグ戦34試合中32試合に、ナビスコカップはグループリーグの6戦と、準々決勝で敗退したが決勝トーナメントで戦った4試合のすべてに出場している。

「今年のACLの出場権も獲得できたし、チームとしては悪くない成績だったと思う」

 出場試合数と時間を見れば、その成績にプレーで貢献したと言えるだろう。また、選手の年齢層に幅があって年長者も多いチームでは、学ぶことも多かった。

「レイソルは、年齢的にもそうだし、サッカーもそうですけど、みんな自立していると感じました。試合中も監督に言われたからこうしなきゃ、じゃなくて今こういう状況だからこうしようとか、何も言われなくても選手たちで局面を変える判断力が選手みんなにあった。自分が湘南でJ1を戦ったときは、局面がこうだからこうしようとか考えてやれてなかった」

 長く指揮を執る監督のもと慣れ親しんだ戦術を理解しているからできる、ということではなく、戦術を超えたサッカーの局面局面において、選手一人ひとりが対応を判断し、試合の流れを読み、それをピッチの中で共有していたという。

「監督は試合中は声が届かないから言えないじゃないですか。俺はそういうのは分からなかったから、他の選手が言ってくれたんですけど、試合中に『今、この局面だからそこは行く必要ないだろう』とか。そういうことを言われて、『こういう時はこうしたらいいんだ』とか『もっと状況を見た方がいいんだな』とか、だいぶ賢くなったと思う。今まで考えられなかったことなんで。そういうのがあってレイソルは選手が自立してるなと思いました。
 今、湘南はみんながそういうことができるようになっているし、良くなっていると思うんですけど、2013年の時の湘南と、去年行ったレイソルはそこが違っていて、本当にそこが勉強になったなっていうのはあります」

 柏では「いじられキャラ」だったという高山選手は、どちらかというと若手の部類に属したそう。そんな高山選手が特に影響を受けたのは、キャプテンの大谷秀和選手。

「大谷選手は高校卒業からずっとレイソルで中心としてやっていて、人格者だし、今でも本当にリスペクトしてます。大谷選手とはピッチ内だけじゃなく、普段からサッカーの話をして、もっと『ああしたほうがいい』『こうしたほうがいい』って言ってもらって、すごく感謝してます。
 選手同士って仲が良いからあんまり怒ったりしないんですけど、大谷選手は例えば飯でもジャンクなものとか食べていると、『ありえないだろう』とか言うし、普段の生活でもちょっと怠けていたりすると普通に怒られるし。キャプテンシーがすごかったですね、ピッチ内でもピッチ外でも」

 ベルマーレにいた頃から食事などの生活面は気を配っていたので、そういう点で怒られることはなかったが、それでも選手同士でも慣れ合わずに指摘していく姿勢に尊敬の念を抱いた。

「湘南も超まじめですけど、レイソルもヤバいくらい超まじめです。俺のイメージしていたJ1っぽくなかった(笑)」

 たくさんのことを学んだ柏レイソルと今シーズン対戦した2試合に高山選手はフル出場を果たし、1勝1分の成績に貢献した。特に2ndステージで得た勝利は、ベルマーレにとって17年ぶりのものだった。

「試合前からやっぱり燃えましたよね。勝手にモチベーションが上がるって感じでした。やる気満々になって、ホームもアウェイも楽しかったです。勝ったこと自体は『特別に』うれしいっていうことはないですけど」

 在籍したチームと相対する試合でフル出場できたことこそ、そのチームで成長できた証。応援してもらったサポーター達にも不甲斐ないプレーは見せられない。これからさらにステップアップすることが、感謝を伝える唯一の術だ。