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【ボイス:2015年10月14日】高山薫選手 [3]

もう一度湘南でサッカーをしたい 楽しみな気持ちが先に立った移籍

 いつかはもう一度ベルマーレのユニフォームに袖を通してほしい、誰もがそう思ってはいたが、その願いがまさかこんなに早く叶うとは、それこそ誰一人思っていなかっただろう。1シーズンでの復帰には驚いた。

「オファーをもらったのはそんなに早かったわけではないので、その時にはもう今年レイソルの監督になった達さん(吉田達磨監督)と来年はこういう感じで……という話もしていたし、俺自身もしっかり頑張ろうと考えていたんです。でも、その時湘南からオファーをもらって、話を聞いた時に自分の中で純粋に『戻りたい』って思ったんです。
 J2に落ちて出ていってJ1に上がって戻るって、形として良くないとは思いました。そういう状況だから戻りづらいっていう思いもあったんですけど、それでも帰りたいなと思って。湘南でもう一回サッカーやりたいなって」

 高山選手曰く、「達磨さんは曺さんみたいな人」だという。普段から選手ときちんとコミュニケーションをとり、気持ちに沿ったサポートの声をかけてくれる。「ちゃんと考えて、お前が残っても戻っても、それがお前の選択ならそれでいい」と、高山選手が今回のオファーについて誰に遠慮することなく決められるような言葉をかけてくれた。

「だから変なプレッシャーなどはなく、考えられました。
 レイソルに行く時、自分はチャレンジしなくちゃいけないっていう気持ちが強かったけどやっぱり不安はすごく大きかった。大学から湘南に入る時も、プロにはなれたけど試合に出られるかわからないしってやっぱり不安ばっかりでした。でも、柏から湘南に戻る時は、単純に『もう一回湘南でやりたい!』ってポジティブに思えた。だから周りにどう思われるかとかじゃなくて、レイソルに行った時も気持ちを大切にしたけど、今自分が湘南でやりたいと思っているこの気持ちをも大切にしなきゃいけない、チャレンジしようと思って決断しました」

 新しい環境が苦手な高山選手にとって戻ることもまた新しい環境に飛び込むことに変わりはなかった。ましてや、ベルマーレで昨年1年を経験した選手が中心となったチームは明らかに一昨年とは違うチームと言えるだろう。それでもそのオファーを素直に前向きに捉えている自分がいた。

「自分が決めて戻ってきたんだから、自分がしっかりプレーして、変わらず応援してくれる人のためにも自分が100%やったと思えればいいというふうに今年は心掛けている。胸張れるほど頑張れてるかどうかはわかんないですけど、普段から自分がしっかりやって、そうしたら胸張っていいんじゃないかなって思うから」

 ベルマーレにとって昨年の経験がどんなものだったのか、オフが明けて練習が始まった最初の頃から感じることができた。

「去年ダントツでJ2優勝したっていうのもあるし、みんな俺の経験していない記録をたたき出してきた選手たちなので、うかうかしてられないっていうか。自分がいた時よりもレベルは全然上がっていて、今年は結果を残せると思った。キャンプの時から高いレベルで、いい雰囲気でやれたと思います」

 今シーズンのJ1での挑戦は、「J1に住む」という言葉に集約されているが選手たちの目標は、J1に定住するのは当然、さらにその中でも上位を狙おうと高く設定されている。

「クラブとして残留が目標っていうのはあったかもしれないし、昔は正直、それが精一杯だったかもしれないけど、今はそういうふうに思わなくていいと思ってます。俺が初めてJ1を経験したベルマーレと今のベルマーレは違うから。練習をしていても、そこを見てやる選手たちじゃないと思うし。俺は今年の目標は最初から残留じゃく、上位を狙っていいって思ってました」

 目標を高く設定してシーズンを送っているが、ここぞという試合で敗戦を喫するなど、厳しい経験も重ねている。それほどトップリーグは、甘くないというを痛感しながら。それでも、一つでも上を目指す姿勢を貫いていく。