監督・選手コメント

J1第17節 松本vs湘南 試合後監督・選手コメント

【監督コメント】
●曺監督 総括
お疲れさまでした。湘南からたくさんのサポーターにここ松本に来てもらって、アルウィンの松本さんのサポーターも本当に素晴らしい応援を最初から最後まで続けられて我々にとってはすごい圧力でしたが、湘南のサポーターもそれに負けず劣らず一生懸命最後まで応援してくれた。
前節は後半、不甲斐ない負け方をして彼らを悲しませてしまったので、その意味では少し彼らの頑張りに報いることができたかなと思います。
前節は自分の中ですごく思うところがあって、反省ばかりなんですけど、前節の後半は本当に、僕が指導者になってからというか、監督になってから…コーチでいるときからというか、自分がすべて悪かったなと思うような指示だったり、采配をしてしまったことを分かっていたので、その意味ではしんどかったですが、それも含めて選手に助けられたかなと思います。

山雅さんはちょっと形をいつもと変えてきて、我々の3バックの出どころにプレッシャーをかけてくるかたちを取られて、それはちょっと意外な感じはしましたが、それでも勇気を持って遠藤や三竿が入っていくことが我々のスタイルの真骨頂なので、そういうところで最後のヨシ(藤田)のゴールが生まれたり、あくまでも、ちょっと山雅さんの最後のパワープレーにラインが下がってしまい危ない場面が何回かありましたが、全体的にラインを上げて自分たちのボールになったときに周りのバランスをよくしながら攻撃をしていくことが、僕が彼らに要求しているいちばんのポイントなので、そのポイントを90分間プラスアディショナルタイム、選手たちはよくやったと思います。

●曺監督 質疑応答
–前節、失点後に下を向いたところがあったが今日は先に失点をしても前を向いた選手たちについては?

FKのオウンゴールだったんですけど、あの点がラッキーだったとは思います。そういう意味でうちはラッキーなゴールや運があるような展開に持ち込めることが1stステージではなかなかできなかった。よく運も実力のうちと言われますが、それも含めて監督として運を引き寄せるためのものを何か作らなければいけないなと思っています。2-2に追いつかれたあと、すぐ3-2にするところのメンタリティとか、絶対に勝ってやるんだという気持ちが、少しだけあの時間上回っていたと思うので、今日は最後の笛がなるまで、選手を信じて我慢しようと思っていました。

–古林選手がゴールを決めたが?

将太(古林)は大竹同様に前十字を切ってリハビリを長くしていましたが、前十字を切った後のリカバーというのは、特にスピードのある選手は復帰は難しいと思います。その中で、彼はほとんど僕に褒められたことはなくて常に怒られ続けてきて。ただ、アイツの良さは僕が一番よく知っているので。ああいうプレーが試合の中で何回も何回も出ることがアイツの良さだと思います。
そういう意味では彼の家族も含め、こういう結果を出せたということが、アイツなりにサッカーと向き合ってやってきたことへのご褒美だと思います。
ただ、祥(藤田)も含めてスタートはここからなので。今日をきっかけに、さらに上に上にいけるような選手に成長してもらいたいと常に思っています。

–戦い方が意外だったということだが、今季の松本について。

意外というか、ソリさん(反町監督)らしいな、と。我々のストロングをしっかり抑えてくるところは、僕の中で意外でしたけど、ソリさんの中ではロジカルなんだと思います。その裏返しの弱点というのは、戦術とかやり方、それをやったらうまくいくものではなくて、僕もいつも思うんですけどその指示をしたからそこは抑えられたけど別のところでやられてしまったり、よさが出なかったりと、戦術に絶対はないので。ただ、山雅さんとは毎回、球際の争いやセカンドボールのところでウィンしたチームが攻撃にいくし、ロストしたチームが守備にまわるというスピーディーでタフな試合になることが多い。僕もベンチにいてすごく楽しかったですし、こういうゲームが年間通して続けられれば、選手は間違いなく成長すると思います。

–古林選手のゴールのときも岩間選手が引っかけたボールを奪い返してからの展開ということで、どちらに転ぶか分からないところからゴールが生まれている。まさにああいうところがこのカードの醍醐味といえるか。

このカードだけでなく、やはりいまコパ・アメリカとかを見ていても、パスを25本繋いで崩すゴールなんてほとんどなくて、隙をつくったほうが失点して隙を突いて点を取ったほうが勝つというか。残りの時間はお互いにボールを奪い合う展開がすごく多い。それはべつにJリーグだけでなく全世界がそういう傾向になりつつあるので、やはりサッカーの醍醐味をサポーターのひとと我々指導者と選手がみんなで分かち合ってやることができれば、偉そうな言い方になるかもしれませんが、日本のサッカー全体の人気や興味、やりがいだったりが増えてくるのかなと個人的には思います。
–今日でファーストステージが終わる。2013年は年間6勝、今季半分を終えて同じ6勝を成し遂げた選手たち、さらにこの結果を受けてセカンドステージに向けてどのように仕上げていきたいか。

うーん……、ファーストステージが終わってよくやったな、でもないし、全然ダメだったなというのでもなくて、周りで見るひとはこのチームは最終的に順位が何位だった、勝点いくつだった、よくやったということなんですけど、僕のなかでは毎日毎日の彼らとのやり取りのなかで、よくやったと思った瞬間に終わりだし、逆に彼らのことを諦めてしまった瞬間に成長は止まるので、今日でシーズンが終われば何か違う感情が出てくるかもしれないですけど、あと半分残っているし、まだまだやらなければいけないこともあるし、ホームゲームでなかなか勝ててない事実もありますし、そういうことも含めて、セカンドステージはファーストで負けた相手にもリベンジしなければいけないとも思っていますし。そういうことを考える感じには不思議とならないです。

●反町監督 総括
コメントするのに難しいゲームだと思います。現実をしっかり受け入れないといけないことはチームを預かる人間としては感じております。同時に、私の責任も強く感じております。サポーターの皆様にはいつもたくさんの声援をいただいて感謝しております。それに応えることが出来ず本当に申し訳なく思っております。

ゲームは見てのとおりなので、勝手に書いていただいて結構です。我々の良さを出せている時間帯もあるし、やはり出せていない時間帯もある。出せている時間帯を増やすことができれば勝利はついてくるんですけども、やはりJ1ということで戦前の予想どおり厳しい戦いになっていることは間違いない。私はJ1に来たことで一度も楽観視しておりませんが、楽観視した何人かは現実を見ていると思いますよ。

阿部(吉朗)があれだけ少ない時間で得点を挙げていることに加担しているところは、何かしら我々の足りないピースのひとつかもしれないですね。ディフェンスも良くはやっているんですけども、ここという時の力が足りないとは感じました。送り出した私の責任なので、これは自省をしないといけないですね。シーンとさせてすみません。

●反町監督 質疑応答
–得点直後の数分後に点を取り返されているが?

少し点を取って喜び過ぎですね。試合が終わってから喜べばいい。喜ぶことが悪いと言っているんじゃないですけど、次なるエネルギーに向けて欲しいというのは選手にも話をしようと思っています。それと鹿島戦もそうでしたけど、先制してすぐにやられている。また同じケースですよね。サッカーの常識では点を取った後の何分、というのはよく言われることなんですけど、それを2つやられているようでは。例えばゲームの中で1回あったら、じゃあどうするかとしっかりコントロール出来るかというのもありますしね。
言い方を変えるとまだファーストステージ終わったばかりなので、出てきた問題をセカンドステージに向けてどう修正するかが監督の仕事なので。といっても仕事がなくなっているかも知れませんけど。それをセカンドステージに生かさないと、我々の目標は達成出来ないと思っています。

–5連敗となったが?

ひとつはこの5試合の相手が我々を研究してきた部分はあります。セットプレーにしてもその他の部分でも。それを超える力を出さないといけないと感じています。具体的には言えませんけど、このままやってはダメだということは大前提でやりたいと思います。昨季のG大阪みたいに、後半からパトリック選手が入ったことで大きくクラブが変わったように、何かしらしないといけない時期かも知れないですね。我々はJ2の時でも相手を凌駕する力は出していなかったところをすり抜けて、昇格した部分がありますから。何人か発表されている選手もいますが、それを超える力をつけなければ厳しい次のステージでは勝ち上がっていけないと思います。
ただ、少しずつ良くはなってきていますよ。J1のスピードに慣れてきて、今日も気持ちに入った試合が出来ましたし。勝ちがついてこないということは現場を預かる私の責任であることは分かっていますし、選手は持てる力を充分発揮していると思います。

–ここまでで成長した部分と見つかった課題は?

課題はメディアに話す部分ではないと思いますので、皆様に書いていただいて結構です。これはチーム内で大事な話になるので、しっかり検証してやっていかないといけない。
見ての通り、後ろ、中盤、外と選手がどうしても足りないんですよ。簡単に言うと人に強くないんですよ。それはなかなか変えられないですけど、トレーニングを踏まえてやっていかないといけないでしょうね。

–チーム内の競争心を芽生えさせるためには?

やはり少しボールを動かす力、判断、技術とかはJ2でも露呈していた部分をごまかしながらやってきましたから。僕は最初から分かっていましたけど、皆さんも分かってきて感じていると思います。それは補っていかないといけないですし、今日は34試合目じゃないので、ここから這い上がっていけるかどうかというところですよね。

–サポーターの雰囲気について。

言いたいことは分かります。あれ?というつまらない失点がここのところちょっと散見していますよね。それは充分分かっていますし、文句は私にかかってくると思っています。それは認識しています。皆さんには本当に感謝しています、これからも足を運んで叱咤激励して、心の底から応援していただきたいと思います。

–前田直輝選手の評価を。

試合に出るかどうか分からないですよ。先日また3人くらい追加したでしょ。90分であれだけ人数集めるというのは、僕も経験ありますけどどうなんでしょう。もちろん練習で見たいという気持ちも分かるんですけど、そのためにJ-22選抜があるんじゃないのと感じています。20人くらい呼ぶのであれば、前半後半で代えちゃえばいいくらいで何とも言えませんが。
彼はゲームをしながら、高い成長曲線を描いている選手のひとりだと思います。狭いエリアでも前を向く力ありますし、例えばああいうドリブル主体の選手はあまりルックアップ出来ずに視野が狭くなるんですけど、彼はそうでもなく周りを上手く使いながら出来るようになってきました。ある意味、外の空気を吸って帰ってきて、チームに貢献してほしいですね。頑張ってほしいです。

–複数失点が続いているが、問題点は?

問題点はひとつは我々の問題で、あとは相手の強さですね。そういうところはちゃんと話をして、トレーニング兼ねてやっていますよ。そうでなければ監督として何の仕事をしてるんだってことになりますから。ただ、湘南も総失点数そんなに変わらないですよね。得点数もそうですが。ただ勝負強いかどうかというところは、まだ少し湘南さんの域には達していないのかも知れないですね。

–セットプレーを簡単に与えているようだが?

今日はちょっと与え過ぎですね。相当多かったんじゃないかな?気持ちの現れとして果たして解決していいのかということですね。判断して止まるとか、今日だったら風の影響もある中でそういうことが出来るかが大事。駆け引きもディフェンダーの大きな要素じゃないですか。イケイケで出来るほど甘くはないですから。そういう駆け引きで全部向こうが勝っているというのもあるかも知れないですね。

【選手コメント】
●古林将太
(ゴールについて)航(遠藤)が出した時に、相手が一人食いついてきたので、それはファーストタッチで抜けるなという自信はあったので抜いて、そのあとクロスを上げようと思ったんですけど、一人また食いついてきたからキックフェイントで抜いたらスペースが空いていたので、思い切って打ったほうが後悔しないなと思ってニアに思い切り蹴ったらうまく入ってくれました。
(J1初ゴールだが?)ナビスコでは2点決めていたけど、Jリーグでなかなか決められないなと少しプレッシャーにもなっていたし、やっと決められたなという感じです。ここからまたどんどん決めていきたいです。
(一目散にベンチに向かったが?)曺さんに抱きつきにいこうと思ったらその前に滑ってこけて、曺さんまで辿りつけなくて(笑)。でも本当に嬉しかったです。
今年はなかなか自分のコンディションが上がらなくて、浮き沈みが激しくて苦しい時もありました。自分自身で何がいけないのかと考えることも多かった。今日の勝ちだけで満足するのではなくて、今日をきっかけにどんどん上がっていけるように、やっていきたいです。今日がすべてじゃないしこれから頑張っていきたいです。

●大竹洋平
2年前はこういう試合で結果的に落としてしまうことが多かったので、今日のような試合ができたというのはチームとして成長できているということだと思います。
(ボールを触る回数も多かったが?)前で起点になってボールをキープしてチームのよさを出すということを意識してやっていました。あとは点を取るというところで、今日はシュートも多く打てたんですけど、ただそこで決め切る力が足りなかった。1stステージで点が取れなかったので、その分2ndステージで点を取れるようにやっていきたいです。
今日のような、自分が前で起点になって周りの走力を活かすというようなプレーをベースにしていって、あとは点に絡むプレーというのをもっと増やしていきたいと思います。
相手も球際は強いチームなので、そこで負けないことを意識していました。そこで負けたら相手のリズムになってしまうと思ったので。
(前節の反省を活かせたところはあるか?)そうですね、前節の反省をすぐに次の試合で活かせたことはチームとしてよかったと思います。失点した後、みんなでもう一回やろうというポジティブな声を出して戦えた。やっぱりこのチームは、負けることもあるけど、そういう試合でしっかり反省してそれを次に活かせるのがいいところだと思うので、繰り返してもっといいチームになっていけたらなと思います。

●藤田祥史
自分の中でワンチャンスぐらいはあるかなと思っていたんですけど決められてよかったです。
(離脱中どのようにチームを見ていた?)みんな走るし、たしかに巧い選手はいないかもしれないけどがむしゃらに頑張るし、そういうなかに入れないもどかしさはずっと上から見ていてありました。でもその分、選手の特徴とか、もうちょっとこうしたほうがいいなとか、上から見る機会が多かった分少し整理してから合流できたと思います。合流してからも体力がちょっとまだだったけど、感覚的には悪くなったので、曺さんもメンバーに入れてくれたので期待に応えなかった。ちょっとだけ恩返しできてよかったです。
ファーストステージ最後だし、勝ってセカンドに入れるので、負けるよりも勝っていい気分で向かうことができるので、それはよかったかなと思います。ピッチに立たせてもらえたので、ここから返していきたいなと思います。

●永木亮太
今日は相手が山雅で、アウェイということもあって難しい試合になることは分かっていたんですけど、絶対に勝点3を取ろうということでみんなで臨んだ試合だったので、まずは結果が出たことがよかったです。
前半、風上の時に本当は1点取っておきたかったんですけど、決められなかった。ただ焦れることなくやり続けることができたと思います。後半、先制を許しましたけど、そこで慌てることなくみんなで話し合いながら、前節の反省を活かすことができたことはよかったと思います。自分も前節、2点目を許した場面で気落ちしてしまったところがあって、その反省をしっかり活かそうと、今日は試合前からたとえ先制点をとられたとしても慌てずにやることを心掛けて入りました。
(球際やセカンドボールについては?)セカンドボールはもう少し拾いたかったですけど、球際は厳しくいけていたし、俊(菊地)と僕のところでバランスを取りながら、一人が前に行ったら一人が残って、ということもしっかりできていたと思います。
(古林選手と藤田選手が得点したことについては?)コバショウ(古林)は今年なかなかスタメンで出られていなかったし、ヨシさん(藤田祥)も開幕前にケガをしてしまって、思うようにできていなかったと思う選手が、こういう難しい試合で結果を出してくれたということは、チームにとって本当にプラスになると思います。ベンチ含めすごくいい雰囲気でひとつになって戦えていたので、二人に、そしてチーム全員に感謝したいと思います。

●菊池大介
最後苦しかったですけど、同点になったところでも諦めずに、みんながみんなを信じて走り切ることができた結果だと思います。チームを信じてそれぞれが自分の役割をやり切ろうとしたことがよかったと思います。
球際の部分は、今日に限らず毎試合意識していますし、そこは基本的なところだと思います。今日それを出せたことが苦しい中でのゴールを生んだと思うので、みんなの頑張りでつかんだ勝点3だと思います。
前節の新潟戦に限らず、いろいろな試合における反省が活きた試合だったと思います。先制されてもブレずにやれたし、特に今日はグラウンドの中で声が出ていたと思います。
自分が与えてしまったPKでしたけど、自分もすぐに切り替えることができた。みんなが気持ちをしっかりコントロールできたことがよかったと思います。