監督・選手コメント
J1第2節 鹿島vs湘南戦 試合後監督・選手コメント
【監督コメント】
●曺貴裁監督 総括
お疲れさまでした。
先週からJリーグが開幕して今日アウェイで初めての試合だったんですけど、本当にホームのような声援を素晴らしいこのカシマスタジアムというピッチのなかで最後まで応援してくれたサポーターに感謝したいと思います。
前節の浦和戦はナイトゲームひとつ、開幕戦、相手が浦和さんということで非常に周りの期待が高まっているなかで試合をして、僕自身も選手たちもそこに向かってキャンプからやってきましたが、気持ちが悪い意味で昂り過ぎたことで、ひとつのミスやひとつうまくいかないことに徒労感があるようなゲームになってしまった。もう一度、我々が大事にしてきたもの、それこそ湘南スタイルだったり、縦に速いとかカウンターが強いという、周りが求めているようなプレーをやることが試合ではなくて、1対1の粘り強さとか最後まで頑張るとか声を出すとか、我々が本当に内なるもので大事にしているものともう一度向き合ってゲームをしていこうという話をしました。
前半の入りは全然よくなかったんですけど、90分通して足を止めない、両ゴール前で体を張る、1回で取れなかったら2回3回行く、1回で崩せなかったら2人3人数を掛けていくというような、我々が大事にしていることを選手たちもしっかりやってくれたと思いますし、その結果、何年振りか分からないですが、アウェイの地で鹿島さんという強豪を相手に勝てたことは、我々としても次に進む材料になります。ただ、ピッチのなかでまだまだやってはいけないというか、…やってはいけないというのはちょっと上から目線ですけど、そのプレーでボールをなくしてしまうと相手にカウンターを食らうときに、簡単にロストしてしまって相手にボールを渡してしまうようなプレーもあるので、そのあたりは、昨年だと目立たないけど、今年はリーグのレベルが当たり前ですけど高いので、そういうところからピンチになってしまうというところは反省をしなければいけない。ただその内なるものを大事にしてみんなでまとまって、交代で出た選手、今日出られなかった選手、馬入で練習してる選手も含めて、そういう気持ちが少しは出せたのかなと思います。
今年始まる前に、昨年やはり勝点100以上取って上がったチームなので、湘南は今年J1で旋風をという話を、僕も耳にしないことはなかった。ただ、僕自身は去年何位だろうが、今年どう臨もうか、自分たちのチームとして大事にしてるものを日々繰り返してJ1に臨んで行くつもりなので、今日の試合の勝ちで選手たちをそのプレッシャーから解放させてやりたいなと。
我々は決してうまい選手ばかりじゃなくて、決してJ1の経験がたくさんある選手だけじゃなくて、そういったものから取り払って自分本来のプレーをさせたいなとこのまえ負けたあとにずっと思ったんですけど、それはもう2試合戦ったので、皆さんもあまりプレッシャーをかけるような言葉を選手には言わないでというか(笑)、もう2戦経ったのでまだまだ力のないチームだということは分かったと思うので、それなりに評価してあげてください。
でもこの勝利をきっかけに、次ナビスコもありますし、またホームに戻るので、次の試合もまた勝てるようにいい準備をしていきたいですし……本当に今日の試合に関わった皆さんにお疲れさまという気持ちでいっぱいです。
●曺貴裁監督 質疑応答
–今季先制されても1点2点返すことが大事だと話されていたがそういう意味では一昨年との比較として今日の試合の出来は?
もちろん先制されないほうがいいんですけど、今日の試合だけでいうと2点目を取られなかったことが大きかったです。あそこで2点目を取られて崩れてしまうことが2年前のパターンだったので、そこでみんなで踏ん張って、あのPKはラッキーではありましたが、チャンスをもらったということは、ひとつ選手が成長した証だと思います。
そもそも少ないチャンスに1点を先に取って守りきろうというチームではないですし、いい意味でそういうことができるとは思っていない。僕は90分を通してアタッキングフットボールをやる、と。アタッキングフットボールをやる中で守ることを放棄してはいけないという話をずっとしているので、その気持ちが前節よりも継続してできたかなと思います。
–前に出ていくところで簡単にボールを失うなどのミスが起こる原因はどう解釈しているか?
もし僕が監督としてノーリスクのプレーをさせるなら、あれは全部クリアでいいと思います。でも僕は相手の嫌なところ、懐に入っていく、J1で戦うためにということを去年もずっと言ってきました。ノーリスクのプレーを最初から選択していたら、あのプレーは起こらない。失点も起こらない。でも、それは違うだろうと自分で思っているので、あのトライをしたことはミスになったからって責めることはないです。
ただ、パスの距離感とか本当に準備して、サポートの角度とかいつもやっているようにやれたかというとやれていなかった。J1のアウェイの地でプレッシャーがある中での試合で、名前出すのも何ですけど、俊介(菊地)なんかは本当に緊張でカチカチでしたし、そんな風になるのも初めて見ました。そういう意味では、彼らが伸びるいいきっかけになってくれればと思います。
もちろんプロのチームでプロの監督なので、目前の試合に勝つことが一番ですけど、その勝ち方というか、勝つプロセスというか、やっぱりチャレンジをさせていきたいし、成功体験を増やしたいし、そのためには勝つ確率を上げるには、自分たちの成長がすべてだよというふうに思ってもらうことが、指導者として唯一できることかなと思います。
なので、あのミスはやってはいけないんですけど、だからと言って、違うことを言うつもりはないです。みんなで向き合って、あのプレーを改善するように全員がかかわっていかないと、我々のクラブのよさが出ないと思っています。
–ミスはJ2では出なくてJ1では出るという部分では、相手の問題なのか自分たちの問題なのか。
両方あると思うんですけど、ミスに関しては僕は自分たちにあると思います。見えないプレッシャーも含めて。ただ、あそこで決めてくる、ノーミスで持ってくるというのは、やっぱりJ1だし鹿島さんだしということは痛感しました。
だからといってあれがあるから、これをしないようにしよう、という方法論は僕の中にはないです。
–同点に追いついた後にシステムを3-1-4-2にしたと思うがその狙いは?
相手の交代選手に力があることは分かっていたので、あの真ん中をしっかり埋めておかないと、スペースがある中でやらせると分が悪いと思いました。
そういう意味では、今日はキムジョンピルはパーフェクト以上の、120%の出来で、相手の勢いを止めてチームに勢いをもたらしたと思います。
最後、名前も知られていないブラジル人選手が得点とって退場しましたけど(笑)、彼を含めて、いい形のゲームプランでいい形で送れたかなと思います。
●トニーニョセレーゾ監督 質疑応答
※総括なし
–決定機になかなか決め切れないが?
サッカーをやるうえで決まる時もあれば決まらない時もある。ということを私はサッカー人として長くやるなかでそれがサッカーの一部であるととらえている。敗戦をしたということはあるが、ここ数試合やっている中で、これでもかというチャンスの数があるが、リーグにおいては2点、ACLで1点という状況です。チャンスの数との比率、決定力という部分を考えれば、非常に低いと思っています。ただ練習量が足りないとか、意欲が足りないということではなくて、選手たちはそれを改善しようという努力はしている。いまはそういう時期かなということしか言えない。彼らが、これを変えるのは得点しかないということは分かっているので。
あとは勝負の世界ですから、勝ったり負けたりする。当然ながら勝ちにいこうとスタートするが負けることもある。それはやむを得ない。
ただ一番ダメージを受けるのは、得点できなかったとか勝てなかったことよりも、こういう連戦の中の連敗。そこは精神的にかなり響く。悪い部分がたまったりするので、ここはスタッフの総力戦であって、グラウンドの中でどれだけ彼らに自信を持たせる作業ができるのかということになる。
そういう作業をやっていってプラスに転じるときがくると思う。
現在、ACLとJリーグを並行して戦っていて、公式戦4連敗となっている。そうすると、メディアやチーム内部外部から采配が悪い、あの選手が悪い、練習がどうこうなどやり始めたら、おそらく負の連鎖のままもっとひどくなっていくでしょう。
ここで、アントラーズというクラブはここで全員がそういうことをせずに、チームに対して犠牲心をもってやっていくこと。メンバーの入れ替えはできないし、いる30人が変えていくしかない。応援してもらえれば選手たちは心強いと思うし、その一体感というものがクラブをよくしていくと思います。
なぜ僕がそういう話をするかというと、2年前、昨年とみれば、そんなに大幅なメンバー変更をしているわけではない。去年と一昨年の結果が幻かというとそうではない。自信を失うことはない。全員がひたむきにやり続けるしかない。
【選手コメント】
●遠藤航
(逆転のシーンは?)押し込まれた中でもチャンスはくると思っていました。薫くん(高山)がタメをつくってくれて、アリソンも見えてしっかりいいクロスを上げられたと思います。
押し込まれても我慢していればチャンスはくると思っていたしメンタル的にいい意味での余裕をもってプレーできたと思います。
シンプルに球際で負けないとか最後のところでやらせないとか、そういう部分はチームとしてできたと思います。ただ少し下がりすぎたところもあったので、もう少し前で守備ができればもっとよかった。後ろは立ち上がりに1点とられてから我慢してしっかり守れていたと思います。
そんなに慌てることなく落ち着いて後半に入れたと思いますし、ハーフタイムに監督からもやることを変えずに続ければ得点はとれるというような話もありました。チーム全員、そういう気持ちで臨めたと思います。
(失点のシーンは?)隙をついてくるのはJ1だと思うし、最後のクオリティはやはり高いと思います。ただあそこで繋ごうとしないでクリアするのもうちらしくないというか、質を高めて繋ぐということが大事だと思います。ミスをしたから次は蹴るということではなくて、課題として受け止めながら、しっかり判断してプレーしていければと思っています。
●永木亮太
先制されても慌てることはなかったです。球際の争いは負けている感じはしませんでした。
多くのチャンスを作ったというより、少ないチャンスを決め切ったという試合でしたが、結果が大事だと思っていたので大きな一勝だと思います。勝利という結果を2節で出せたのは、チームとしても個人としての自信に繋がると思う。
僕自身は冷静にゲームを落ち着かせようということを意識しながら、でも球際だったり細かいところでしっかりやっていこうということを今日、曺さんから言われて、その大きなテーマを意識していました。細かい部分の湘南スタイルを突き詰めて、球際とかしっかりクロスに付いて行くとか、今週は3対3とかゴール前のディフェンスの練習とかもたくさんしましたけど、そういうところをしっかりできればこれ以上点は取られないかなと思ってやっていました。
分かりやすい湘南スタイルは出せているけど、そういうところではなくて、本当の湘南スタイルは自分たちのなかで決まったことをしっかりやるという部分。見ているひとにとっては分かりにくいところかもしれないけど、細かいところが湘南スタイルの本質だと思うので、そういうところをしっかり出せと言われていました。
原点に戻るというか、湘南スタイルに浮かれていた自分たちもいたんじゃないかという想いもあるので、そういうところは曺さんに言われて自分たちもそうだなと感じて今日の試合に挑みました。
●アリソン
今週1週間、一生懸命練習したことを試合で表すことができてとても幸せです。
試合に出たくて出たくてウズウズしていましたしプレーすることが待ち遠しかった。いいデビュー戦になったと思います。
意識していたのは、チームがああいう流れだったので守備にも力を入れながら攻撃で結果を出したいという思いでした。
幸い最後にいい結果が出せて本当によかったです。
●三竿雄斗
前半の立ち上がりはすごく悪くて、奪われ方も悪かったしチームも個人としても全然ゲームに入り切れていなかった。先制点も与えてしまって前半は難しかった。ただ後半、諦めることなく、気持ちを切らすことなくゴールに向かえたし、ハードワークだったり、球際の部分で戦えていたと思います。そういう意味で、チャンスは相手に比べたら全然少なかったけど、最後のアリソンのゴールはサッカーの神様が与えてくれたゴールかなと思います。
最少失点に抑えられたことは大きかった。陽太くん(秋元)のスーパーセーブもありましたし、そのあとのこぼれなどもみんな集中していた。僕自身はクリアミスが中途半端になってしまったところもあったけど、そのあとの冷静に対応できたのは、少し成長できたところかなと思います。
全体を通して、気持ちを切らさずに戦えたことが勝因だったと思います。
●キム ジョンピル
J1の2試合目で、1-1の状態で入ったので、失点しないことをいちばんに思って試合に入りました。あまりボールには触ってないけど、守備的には悪くなかったんじゃないかと思います。鹿島にはドリブルが巧い選手もいるので、真ん中を空けないように気を付けていました。