馬入日記
【馬入日記:12月14日】7年間ありがとう。中村祐也選手、町田へ移籍。
先日、中村祐也選手のFC町田ゼルビアへの移籍を発表しました。
2005年に浦和でプロになり、2008年に湘南に移籍加入。それから7年間、ベルマーレのユニフォームを着て戦いました。
共に戦った仲間が、そしてスタッフの誰もが厚い信頼を寄せる選手。サッカーと真摯に向き合う姿、決して諦めない強さ、ピッチ内外でのプロフェッショナルな姿勢はチームに大きな影響を与える存在でした。
「長いようで短かったというか。7年を語るのは難しいですね(笑)。自分の中ではやっぱりケガでチームの力になれなかったという想いがあって。そういう選手をチームに7年も置いてくれていたということに、すごく感謝しています」
ベルマーレで102試合に出場し23得点を挙げました。
印象深いゴール、ここぞの時にチームを助けるゴールも多くありました。
11年ぶりに昇格を果たした2009年には14得点を挙げチーム得点王。中村選手がいなければ2009年の昇格はきっと難しかったことでしょう。
「自分の中で何かを残せたなと思えるのは2009年くらいですが、やっぱり特別な想いはあります。初めてシーズンを通して試合に出られた年だったし、当時23歳で、若いというわけではないですけど、ベテランの選手が多い中、本当に上の人に助けられて引っ張ってもらったのが大きかったと思います」
また、「自分はケガを抜きには語れない」と自身でも口にするとおり、長期のケガとの戦いでもありました。
「ケガをしてる時って本当にやれることが限られているから、今できることをやるということが本当に大事だと余計に感じていました。チームのためにもそうだし、自分のためにも。僕は口で何か言うほうじゃないので、ケガをしていてもしっかりやるという姿を見せることは大事かなと思っていました」
苦しくとも、ネガティブな発言や周囲に気を遣わせるような態度を見せることなど一切なく、ただ目の前の“今できること”に全力を注ぎ続けました。
そんな中、今年の3月にアキレス腱断裂からの復帰。「忘れられない」という、復帰戦での大声援。さらに、11月の北九州戦では復帰後初ゴールを決めました。
「ゴールは本当に久々の感覚でした。そこを少し取り戻せて今年を終われたことはよかったです。それがなかったら、少し自信を失っていたのかなと思うので。ただひとつ、最後にホームで点を取りたかったですね」
FC町田ゼルビアへ移籍することが決まった来季、今の心境とは。
「環境も違うしカテゴリーも違うし、久々に全部が変わるので、少し楽しみにしている自分もいます。7年もここでお世話になれると思っていなかったですが、来年はまたフレッシュにできるかな、この年にして(笑)」と。
中村選手への思い入れが強いというサポーターの方はたくさんいらっしゃることと思います。ずっと見守ってきた選手との別れは、寂しいものです。
サポーターの皆さんにメッセージを、と言うと黙って考えていた中村選手、しばらくして「泣いちゃいそう」と言ったあと、目を真っ赤にしてこんな風に話していました。
「自分がどんな状況であっても、本当に常に声をかけてくれたし、サポートしてくれた。皆さんの存在があったからこそ、ベルマーレで7年間プレーできたんだと思います。本当に感謝の気持ちしかないです。ケガをしてる時に、早く復帰してねと声をかけてくれて、なかなか復帰できない時は自分の中でもどかしい気持ちだったんですけど、それでもずっと応援し続けてくれた。自分一人だったら、心が折れていたと思う。本当に支えになってもらったと思います」
きっと湘南サポーターは来季、中村選手の勇姿を応援に町田へ行くことでしょう。そう言うと…
「来てほしいですけど、でももうこの7年で充分サポートしてもらったから(笑)」と中村選手らしく話すのでした。
「スタッフにも選手にも本当にお世話になった。自分は本当に恵まれているなと思います」
本当に多くのものをもたらしてくれた選手。続いていくサッカー人生がさらに幸せであることを願わずにはいられません。
中村選手、7年間本当にありがとう。