監督・選手コメント
J2第33節 京都vs湘南 試合後監督・選手コメント
【監督コメント】
●曺監督 総括
お疲れ様でした。
アウェイの遠い地まで、いつもサポーターの皆さんが本当にお金を使って来てもらって本当に有難いと思っています。心から本当にそういう気持ちでいます。
去年降格して、また監督をさせてもらうことになって、まだ降格して1年は経っていないですけど、あの時の選手の悔しそうな顔とか、あの瞬間というのが今年ずっと脳裏から離れなくて、落ちたのは全部僕の責任だし、選手たちは一生懸命頑張ったという中で、ここまで苦しい試合もありましたけど、今日の試合は9割くらい京都さんの試合で、本当に素晴らしいチームだと思いましたし、勝てる要素としても相手に持って行かれた試合だったと思います。
でも、選手のひたむきな気持ちや、試合に出られなくても腐らず、チャンスを待ってチームのために働く。そういう気持ちだけが最後に残っていて、神様がプレゼントをくれた試合だと思います。
他のチームのことは分かりませんし、他の国のことも分かりませんが、ベルマーレでやっている選手に言っていることは、我々が見せるサッカーで、見てる人や周りの人の心を動かす試合をしなければいけない。
自分たちが上手いとか、自分たちが相手よりパスをまわしたということに満足するのではなく、相手を上回るということは、応援してくれている人たちがみんなそこにシンクロにしてそういう気持ちになることだという話をしました。
昇格が決まっても、僕も一瞬は喜びましたけど、選手も心の底から喜んでいなくて、でもそのことが彼らの成長だと思いますし、本当に彼らに日々いろいろなことを教えてもらっています。
これだけ熱くプレーしてくれる彼らを指導していて、心の底から誇りに思うし、自分は本当に幸せだなと思っています。
今日昇格を決めましたけど、残り9試合あるので、優勝、そして勝点をひとつでも積み上げる。そのことにまた選手と向き合って、選手と日々やっていきたい。また来年あのステージに戻る彼らのプレーを、皆さんまた応援してあげてください。僕も彼らがJ1のステージで躍動できるように、残りの時間、彼らとやっていきたい。
今年7年目8年目の大介(菊池)、シマ(島村)、祐也(中村)、そしてむこうに残った選手もいますし、最年長の阿部は来ていないですけど一生懸命やってくれていますし、途中できた征也(藤田)、ヒロキ(樋口)、アンドリュー(熊谷)、彼らも含めて、毎日本当に厳しいことを言われながらも向き合ってきた彼らには本当に敬意を表したいです。
それを後押ししてくれたサポーターの皆さんに、本当にありがとうと言いたいです。
●曺監督 質疑応答
–試合前に磐田の結果を伝えたのか。また京都の90%のゲームになったのはそれが要因にもなるか?
磐田が負けたと伝えました。だから引き分けでいこうとは言っていませんが。それが緊張の度合いをアップさせたことは間違いないと思います。ただ、それを経験して乗り切ることも大事だと思ったので。
2年前と違うし、あえてそういうことを言って選手たちに最後まで、勝点3を目指しながら勝点1でも昇格できるのだということを認識させながらやらせたかったというのはあります。
今日はちょっとグラウンドの問題もあったんですけど、ボールを奪った後にロストする場面もあったので、1点目を取られたシーンもそうだったんですけど、そういう緊張感だったりプレッシャーが選手の肩に少し乗ったなという感じはしますけど、でも、磐田の話をしたこと、選手が緊張したことは至ってノーマルだったと思うので。そのことついてとやかく言うこともないし、言わなければよかったかなとも思ってないです。
–それらが、最後の方でコーナーキックで時間を稼いだり、選手が状況を理解したプレーにつながったのか?
湘南スタイルは最後の最後まで攻めきるのがノーマルなスタイルで、今日は途中で形を変えて、なりふり構わずやっていましたけど。
例えば去年J1で戦っていた彼らのマインドはとにかくスタイルを貫くことが勝利につながるということで、しゃにむにそれを貫いて彼ら自身のプレーは成長したと思います。
それは今年も一緒ですけど、じゃあ今日2対2になったところで、ああいうシマ(島村)の素晴らしいシュートで追い付いて、その後、100%の内の80%をカウンターでやられるリスクを選手が感じたのであれば、今日、勝点1で残留できる、優勝できるという状況で、スタイルをただ貫けばいいとも思っていないです。
だから、アンドリューたちにそっちで時間を使え、とは言いましたけど、選手がいやがったら絶対に言わないです。選手が嫌そうなら言ってなかったけど、選手もそういう風に思っている、勝点1でいくぞという話もしたので、そこは監督として決断しないといけないかなと思って決断しました。でも、それがメインになってもいけないと一方でも思っているので、勝負というのは少しのところで展開がプラスになったりマイナスになったりする。その厳しさを僕はまだ3年目ですけど、去年1年すごく味わったので、それをどこまで解消できたか分からないですけど、それもサッカーの一つですし。
相手も力があるのだったら守備を頑張らなくてはいけない。でもその中で自分たちがやろうとしていることはブレてはいけないということが、これから彼らが日本の代表になっていく選手も出てきてもらいたいですけど、そういうところにつながっていくと思うので。
勝負を度外視してスタイルを貫けばいいんだというのはどこか違うと思っているので。勝つためにスタイルがあって、そのためにやっていくことを突き詰めながら、そういうこともサッカーの一部だと選手が成長することになっていくことだと思うので。最初からそうしろとは絶対に言わないですけど、展開、状況によってはそういうこともあるのがサッカーだと思っています。なぜなら、相手があるし、状況があるので。相手がなくて、状況がいつも勝っている状況であればそういうことをする必要ないと思っていますけど、そう思っています。
–2-1でリードされた時、同点に追いついた時の気持ちを。
形を変えて、4枚にした時に、大黒選手に走られるリスクは分かっていたんですけど、とにかく、あの時間1-1で終わるつもりもなかったし、2点目、3点目を取りに行く、2点目を取られていましたし。そういう姿勢でいくと選手には伝えました。反省すべきところはありますが、今年後半逆転されたことは、実は初めてなんですけど、そんなに慌てなかったというか、逆に残り15分京都さんが点を取りに来るのか、守りに来るのか確認しながらもう一枚と思っていたんですけど。ここでウチがチャンスがあれば点を取れるなという気持ちもあったんですけど。ただ、本当にシマのシュートがあそこに飛ぶとは思ってなかったです。ファンタスティックでしたね。選手会長なんでね、ウチの。
–開幕前に「過去最強の湘南を作ろう」と言っていて、リーグの記録を塗り替えて、素直な気持ちは?
記録が塗り替えられたというのは一言、選手の頑張りだと思います。過去、我々2000年に名前を湘南ベルマーレに変えて、10年くらい上れなくて、ここ5、6年で落ちて、上って、落ちてまた今年上れるということで、…ずーっと続く湘南のDNAを僕がたまたまここ2、3年受けましたけど、それが、やっと結実したかなというのもおかしいですけど。
これは今年だけでなく、去年や一昨年、その前から、湘南の火山の地下に潜っていたものがようやく一気に流れ出してくれたかなという感じはあります。
でも一気に流れ出す火山というのは、どこかで止まるんです。それが粛々と延々と流れ続けるチームを作らないといけないと思います。本当にバーっと噴火してそれが終わっている様じゃ、このチームの先はないと思っているので。素晴らしい記録を出したことは本当に良かったと思いますけど、次が大事ですね。
●川勝監督 総括
ゲーム自体はウチのゲームだったと思います。最後一発仕留めるというか、後半はほとんど相手のシュートはあれくらいしかないし、それで決められた。それは素直に認めるけど、選手がここ2、3試合なかった躍動感とか、前へ裏へという徹底を90分やってくれたと。勝てればチームとしてもっと色んなものが手に入ったはずだったが。でも、これくらいゲームは厳しい、きついというのを思い出して残り9試合戦って行けばウチにも充分チャンスはあると思うので、そういうきっかけにこの試合をしないと駄目だということで、次のホームゲームで同じ様なテンションで、同じ様な内容で勝ち切るということを徹底したい。ただ、選手がよく走ってくれたことには感謝してます。
●川勝監督 質疑応答
–中盤を逆三角形にした4-3-3にしたが、そのシステムの評価は?
開いているところを複雑に回すよりも、シンプルに裏へという感じでどんどん出すと。今日は走り合いの多くなる選手は覚悟してゲームに入っている。走り合いでシンプルだけど実際はウチはスピードある。中盤で回しているのも、リズムが出れば当然、変化が付けられるというのも一つだけど、相手がサイドを開けてくれているのだから、そこを狙っていこうと、GKのキックからも狙おうと。それでエンジン吹かして、ウチはもっと走れるはずだからと。それで福村とか(駒井)善成とか大黒もそうだし、右サイドも何回もアクションを起こしていた。どのくらいやったら限界がくるか選手が忘れているというか、上手さで90分戦うというのをここ何試合か続いていたので、試合の中でスプリントというのは必要だったら何本もやるとか。それだけのトレーニングをしているんだから。それに関しては複雑にしないで、攻撃に入った時はスイッチを入れて反応してくれたと。勝ち切れないという課題はあるけど、ただ、これもサッカーかなという部分もある。このサッカーを忘れないで次の週のゲームとか残り9試合とかやれるようにしたい。
–いいゲームだったが中2日でどう準備したのか?
ずっと言っていたのは、中2日でいい相手とやれるというのを、どう捉えるかというのは、人間の感情次第だということ。相手も同じ中2日の日程でやっている。局面で言えば意地だよと。ムキになるとかね。戦術的には4-3-3への変更とか、対応してくれたけど。全部が理論通りに、実際はそうならないから。だから中2日を頭から外せと。その代わり、逆に良い方にとらえれば、この前に試合をやったばかりだからエンジンかかっているだろうと。前半で壊れる選手がいても構わないと言って。だから日程的な事とか、相手の湘南だとか関係なく、自分たちの限界に挑戦するということで全員が今日のゲームを覚悟してやって欲しいと言いました。その通りやってくれたけど、結果が…ね。ただ、やれば出来るでしょということ。
–湘南の印象については?
前半戦は監督やっていないけど、外から見ていて、やることが徹底されているというか、監督体制が長いし、後はウチが後半にやったみたいに、ボールに対してどういう反応を起こすかというのをシンプルだけどゴールに向かう選手が多い。それもいろんなやり方があったりして、人数をかけたり、遠目からでも打つとか、サッカーの原点から逆算したようなことを全員がシンプルにやれると、それを感じますけど。ただ、今日は認めたくない(笑)
–2-1になった時に駒井選手を交代した理由と勝越した時の戦い方について。
善成は単純に攣ったので、限界が来たので。プレスバックとかできなくなったらまずいので交代。三平にしても、田中が久しぶりの外でアップダウンの激しい中で、ボールが来た時に苦しそうだったので、三平を入れて、もう1点という意識で。勝ち逃げでもう一枚を入れるのがどうとか言われるけど、それで勝った印象が少ないと。同じ状態か、もう1点取りにいくぞということでディフェンスの負担を軽減した方が過去にあったので。アクシデントがない限り頑張っているディフェンスを簡単に替えるのは…、外からどう見るかだね。
【選手コメント】
●永木亮太
2-1で逆転された時間帯からは、どうしても最低でも引き分けに持っていきたいという気持ちでやっていました。
シマさん(島村)が素晴らしいゴールを決めてくれたので、ほんとに助かりました。
(磐田の結果を聞いて)引き分け以上で昇格は決まるので、自分的には気持ちはさらに気合いが入ったという感じでしたけど、でも今日のゲームは自分たちらしくなかったかなと思います。
(堅さがあった?)そういうのも多少あると思いますが、でも京都の中盤が素晴らしくて、なかなか中盤でボールを奪えなかった。ディフェンスラインと自分たちの間や、自分たちとFWの選手の間がちょっと空き過ぎていたかなという部分もあるし、ビデオを見ないと分からないところもありますけど、すこしいつもとはスペースが空き過ぎて、相手の中盤にちょっと自由にされてしまい過ぎたかなというのがある。それが90分間向こうは止まらなかったですし、本当に相手のゲームだったんですけど、でもその試合でも引き分けまで持って行けるのは自分たちの力なので、それはプラスに考えたいと思います。
●島村毅
あまりミドルシュートも打たないですし、特に左足っていうのは…練習もしていません(笑)シュート練習でも右足とヘディングしかしてこなかったので。
(打った瞬間の手応えは?)無我夢中だったので、「ホントに入っちゃった!」って。自分でもびっくりしました(笑)。
ボールを運んでいる途中でクロスのコースが見えなかったので、「絶対にシュートを打とう」と思っていました。うちは最終ラインの選手であってもフィニッシュに絡んでいくというのは、1年間、というか3年間取り組み続けていることなので、自分も意識してやっています。
航(遠藤)とかも良いミドルを決めていたので、自分もどうしても決めたかった。
(今日はチームに硬さがあった?)試合の入りは良かったのですが、1点取ってから硬くなっていましたね。
●岡田翔平
先制点を取れたのはうれしいし、自信にもなるかなと思うんですけど、そのあとのところで、攻撃でちょっと絡めなかったり、うまくいかない時間帯が多かったので、すごく反省しています。
でもきょうは島村さんの日です(笑)。持っていかれました全部。
(あらためてベルマーレというチームとは?)前に行く力や推進力、どんどん攻撃のときに力を出すところはJリーグのなかでも上のほうだと思う。若いという部分もひとつあるのかなと思います。伸くん(阿部)やシマさん(島村)たち年上の選手が出られないときも常にしっかりとやってくれているから、自分たちもやらなきゃという気持ちになります。自分も出られないときにどう捉えるか、いつか絶対チャンスは来るし、そのときに絶対それをモノにしてやるという気持ちで毎日練習に取り組んでいたし、上を目指して筋力トレーニングとかずっと続けてきたので、それがこうやってチャンスをもらったときにゴールに繋がったのかなと思います。
●岩尾憲
目標としてやってきたことが、笛が鳴った瞬間はちょっと信じられない感じでしたけど、いまはもう素直にうれしいし、自分がやってきたことは間違なかったということがすごく感じられたし、よかったと思います。
(昇格を掴み取った実感は)最初のほうは出られていなかったですが、メンバー外の苦しい時間で前向きにやってきたことでこうなれたのもよかったと思うし、そこで腐らずにやり続けたことが繋がってよかったと思う。でもこのピッチに立てなかった選手もいるし、スポットライトが当たるところだけじゃない努力の結果が今日だと思うので、僕だけじゃなくて向こうに残っている選手も競争して、たまたまメンバーに入れなかっただけだと思ってるし、その意味では本当にみんなで掴んだと思っています。(磐田が負けたことを伝えられて)意識させられたところはちょっとあっても、自分たちでやれることをやろうというスタンスは変わらなかった。
さすがにプレーとしてもちょっと安全になったところもあったかなと思います。それも踏まえてサッカーだと思うし、きょうはとにかく勝点1を積み上げることが大事だったということでいうと、そういうのも大事かなと思います。
(後半4バックに変えて)最初のボランチの位置でもうすこし攻撃のリズムをつくれればよかったが、京都さんも動かすのが上手いしポゼッション率もたぶんリーグ1位というなかでいうと、そういう時間があるのは自分のなかでは分かっていた。回されることにストレスを溜めずに最後のところでという感じでやっていたが、やはり大黒選手は上手かったです。
●秋元陽太
先制点を決めることができましたけど、その後なかなかペースを掴めず、後半シンプルにやろうとしたんですけど自分たちのミスから失点してしまった。ペースが握れずまた失点を重ねてしまったけど、シマさんの素晴らしいゴールが決まって、引分けでしたけどJ1昇格を掴むことができた。試合内容は決して褒められたものではなかったけど、今日昇格を決めることができて本当に嬉しいです。
個人的なことですけど、去年愛媛でこの西京極で戦った時に1-4でボロボロに負けて、悔しくて泣いた思い出があるんですけど、その西京極でこうして昇格を決められたこともすごく嬉しいです。
残り9試合は本当にJ1をしっかりと意識しながら試合に臨みたいし、どういうサッカーができるかは評価されるところだと思います。自分たちのサッカーを貫いて勝利に繋げる9試合にしたいと思います。
●ウェリントン
去年、降格した日のことを思い出すと本当に悔しくて今年頑張るしかないと思っていました。最初から昇格を強く意識していました。
今まで1試合しか負けていないから、そのままいきたい。できるだけ早く優勝を決めたい。得点王も目指して9試合でできるだけゴールを積み重ねたい。
●菊池大介
試合としては悔しい試合でした。個人的にも納得のいく内容ではなかったし、複雑な気持ちです。勝てなかった悔しさがすごくあったので、喜んでいいのか分からなくて。曹さんから「今日は喜んでいいぞ」という話はあったんですけど、自分の中では難しい気持ちでした。
ただ、こうやって積み重ねてきたものが昇格という形になったことはすごく大きなことだと思う。いい意味で切り替えて、またさらにプラスに変えていけるようにしたいです。
ゲーム自体は、正直相手の試合だったと思います。前半は自分たちの時間もあったしシュートに持っていく場面もあったんですけど、後半にいくにつれてルーズなプレーというか、簡単なプレーをすべきところで難しいプレーを選択してしまって、相手に試合を持って行かれたというのは悔しいところだし反省すべきところだと思っています。ただ、ああやって久しぶりに先発で出たシマくん(島村)が引き分けにもっていってくれて、本当にチームとしての力、成長だと思っています。自分もベンチに座っていましたけど、シマくんの点が入った時はすごく嬉しかった。
ただ試合全体を通しては、来年に向けても反省しなければいけないところだと思っています。昇格が決まったからこそ、しっかり力を蓄えて、次に向かっていい練習をして、いいコンディションを作ってやっていくだけだと思います。