監督・選手コメント

J2第22節 湘南vs熊本戦 試合後監督・選手コメント

【監督コメント】
●曺監督 総括
お疲れさまでした。
後半戦一発目の試合で勝点3をホームで取れたということは良かったと思いますが、今日、熊本さんのああいう形の戦い方は我々も予想してたんですけども、そこの1対1の競り合いとか球際の戦いで、ちょっと勝てなかった場面が、とくに2-0になった後に多くて、僕の交代の仕方のメッセージが悪かったかなと思っています。
2巡目の戦い方の難しさというか、2巡目に入って、なんとなく「1回目に勝って終わってる相手」になってしまっているので、相手の気持ちとか、やってやろうというところが、我々もボケてたというわけではないんですけど、当然そういうところが上がってきて、ちょっと難しい試合になりました。
相手がこういう戦い方になってくるという経験は、一昨年も去年もあまりなかったので、それでもきちっと勝っていくということが湘南スタイルを伸ばしていく、成長、深化させていく一番のポイントだと思っています。
これが練習試合だったりであれば、個々に言わなきゃいけないことはたくさんあるんですけども。
この中でああいう相手に対してしっかり勝点3を取ったということは、ひとつチームとしての成長かなと思います。

ただ、相手のクリーンファイトというか、相手のファイティングスピリットに対して、もうちょっとこう、前線で距離感よくボールを動かして、征也(藤田)が何回かいいクロス上げましたけども、ああいう形の崩しを狙ってたことですが、やっぱりもっと精度を上げていかなければいけない。
我々は2-0になってちょっと後ろ向きになってしまって、ラインが下がって失点してしまったことも含めて、あのタイミングは全部僕のミスだと思ってるんですけど、そういうメッセージをチームが持ってしまったということは、改めて良くないなと思いました。
2-0で、時間帯で、なんとなくそれを跳ね返して、拾われて、跳ね返して、っていう感じの展開は、我々が望む展開ではないので、監督として非常に恥ずかしいですけども、ちょっと僕のやりかたが良くなかったなというふうに自分では今思ってます。
とは言っても別に元気がないわけじゃないんですけど。元気を持ちながらやっていかなきゃいけないなと思っています。

今日は雨と雷の中での試合で、今も雷が鳴っていますが、あと10分早かったらどうなっていたのか。神様に10分待ってもらってよかったなと思います。

●曺監督 質疑応答
–CKからの菊池選手のゴールは見事だった。相当練習していないとできないと思うが?

セットプレーはオープンプレーと同じぐらい大事だという認識で攻撃も守備もやっていて、相手の陣形によってやることを選手たちに伝えていますが、選手って面白いもので、新しい役割を与えられた選手はやってやろうという気持ちになって入るけれど、そういうことばかりやっていると慣れちゃって慣れが悪いほうにいくことが結構ある。その意味では僕が考えた心理戦に大介がよく乗ってくれたという感じに思っています。大介があそこでああいうシュートを打つというのは、久しぶりに大介がフィニッシュに係わるというところで、あいつもよしやってやろうという気持ちでやってもらえたのかなと。
あんな難しいシュートを入れるならもっと簡単なシュートを…(笑)もうちょっと簡単なシュートを入れてほしいなと思うんですけど、本当ににエクセレントなシュートでした。

–途中で右と左を入れ替えた狙いは?
カメ(亀川)も大介もどっちでもできますが、相手の左サイドバックが1枚カードをもらっていたので、違うかたちで大介が仕掛けていくとそういうところも誘発できるかなと思っていて。
ちょっとプレーが止まることが多い試合だったので、その意味では難しい試合でした。アクチュアルプレイングタイムがいちばん少ないんじゃないかなと思いましたけど、そのなかで僕なりに考えてやったんですけど、うまくいったかどうかはちょっと分からないですね。

–怪我人については。

最善の準備をメディカルにもしてもらっているので、あとは本人たちの回復具合を待って。当然怪我人が出るというのは僕の練習の強度も考えていかなければいけないし、チームにとってプラスになることはまったくないですから、いまいる選手とその選手たちがまた競争して、後期あと20試合いい形で終えなければいけないと思っています。

–2年前は42試合目で20勝だったが、今年はすでに20勝、この一番の差はどこだと思うか?

僕は監督をやっていて、いろんな方法論があると思うが、おまえらはヘタクソだ、足りない、だから走らなければいけないと1回も言ったことはないです。
一昨年のJ2も去年のJ1も、技量が足りないから走りなさい、技量が足りないから組織で戦いなさいというのは僕のなかではちょっと違和感があって、技量や戦術理解度やフィジカル面や、メンタルもあると思いますが、サッカー選手であるかぎりそれを全部伸ばさなければいけなくて、自分はこれしかできないからこれをやるというのは最終的に先が決まってる場面で使う言葉だと思っています。
そういうふうに選手たちに言ってきたことがいま勝ちに繋がっていると思いますが、今日選手に言ったのは、我々は、リセット、リスタート、リスタイルという話をした。もう1回リセットしてやらなければいけないが、目指すのは、2年前はパスの成功率が6割しかなかったがいま7割ある、でも75%を目指す、縦パスも100のうち7割は入れろと。
それはずっと言ってきて、2年前も縦パスの比率は7割でいまも7割なんですよ。でもパスの成功率が上がれば当然ゴールに向かう場面はロストしないで増えていく。それは2年前も同じことを言っていて、選手はトライしていてミスは多かった。でもトライすることでAとB、Cのアングルとか飛び出すタイミングとか、いま彼が持ったら俺はこうしたほうがいいというのは当然長い経験で生まれてくる。彼らがそういうところに向き合って努力したことがいまの勝点3に繋がってると思います。それは今年だけじゃなくてずっと長年彼らがそういう苦しい思いもしながらも、“湘南って頑張るだけじゃん、勢いだけじゃん”と言われながらも、それをしっかり自分の心のなかに入れて取り組んでることがその結果に繋がってるだけで。
ただ、今年勝ってるからすごくなったとか勝ってるから何が変わったわけじゃなくて、その積み重ねでしかないと思っているので、これから勝てないかもしれないですし、分からないです。
21回勝って、うちは強くなったとも思ってないし、強くなったと僕が思った瞬間にチームは終わると思うので、まだまだやらなければいけないことが多いなと思っています。

 ●小野監督 総括
前期、先制しながら負けて、そこからどうやってこの試合をモノにするか考えていました。選手は前線からよくプレッシャーをかけてくれて、前から行けばそれなりに危ないシーンは出てきますが、よく体を張って守ってくれて、果敢に攻めてくれて、よくやってくれたと思っています。ただ勝敗は得てしてセットプレーなどから失点してしまう。それは非常に残念です。ただ90分通しての選手のパフォーマンスについてはよくやってくれたと思っていますので、後半戦、このまましっかりと1試合1試合戦っていけるようにしたいと思っています。

●小野監督 質疑応答
–上村選手と黒木選手の先発起用と蔵川選手の投入について意図を。

黒木は前節ちょっと肘が入って頬骨を骨折してしまい、天皇杯は出られなかったが、そのあと非常にやる気を見せてくれてトレーニングからアグレッシブなところを見せてくれました。今日は球際のところが重要になると思っていたので、骨折してそのままというのは最初は考えていなかったのですが、じゅうぶんそれに値する動きを見せてくれたので思いきって起用しました。
よく足を動かして攻守に渡って躍動感をもってやってくれたと思います。

上村は中盤でパスを繋いでつくれることと、なにより運動量であそこから飛び出してサイドにプレッシャーをかけて逆サイドにボールがあるときには絞るという運動量が必要になるところだったので、彼の運動量、それから技術に期待して使いました。まだまだ球際のところは、もっと1対1に自信がついてくればもっと厳しくいけるかなと思いますが、まだまだ経験の浅い選手なので、これから伸びて行ってくれることを期待しています。蔵川のところは、前半、大迫は攻めに出て行った時のクロスやキックは非常に素晴らしいものを持っているが、あそこは攻守に渡ってポジション取りが難しくなるところだったので、相手があそこの裏を狙ってくる部分がすこし出てしまいました。蔵川にそこを指示して投入して、彼はさすがにそのあたりのところはしっかりやってくれたと思っています。

–前半戦の湘南と今日の湘南は内容が違っていたか?

細かいところは当然どのチームも1試合1試合進化させていくところはあると思うが、前線から非常にアグレッシブにボールを奪いに来るところ、ボールを奪ってどんどん攻めに出てくるところは、非常にいいチームであってもそれをキープするのは難しいと思うが、そのまま勢いのある、攻守に渡ってアグレッシブな姿勢を貫いて、その部分の印象は変わってないです。ただすこし前半はかなりお互いプレッシャーの掛け合いだったので、どっちが先に緩んでくるかなというところはお互いにたぶん気にしていたと思います。その意味では前半の途中からすこしプレッシャーの緩みを見せてくれて多少こっちがそこから攻めることができたかなという気がしています。ただある程度のところを崩せても、そこからポジションに係わらずディフェンスしてゴールを死守する姿勢は非常に高いものを示したのではないかと思っています。

–最近にわかに失点が増えているが要因は?

比較的ディフェンスが安定してきてあまり崩れることがないというようなかたちで前半戦の中盤あたりは行ってました。かなり強気にこんど攻撃に舵を切ったところで、京都戦、前半は非常にいい戦いをしたが、そのあと中国で一緒にやっていた大黒選手に多少かき回されて、そのあとすこし後ろを気にするようになってボールに対するプレッシャーが甘くなった試合はありました。そこから修正して、我々のディフェンスは多少リスクがあってもボールを奪いに行くというところを、もう1回そこに戻さなければいけないということで、選手はそこに向かって目をそらさず取り組んできて、いまいいほうに向かってくれているんじゃないかなと思っています。

【選手コメント】
●菊池大介
(素晴らしいゴールだったが?)少し雨も降ってきていい感じに芝がスリッピーだったので、狙い通りというか、しっかり得点に繋がったことはよかったと思います。
得点は両方ともセットプレーでしたが、今うちがいい位置にいるというのはセットプレーで得点がとれているということと、セットプレーの失点がないということも大きいと思うので、それはすごくいいことだと思います。
ただ、もう少しオープンプレーでの得点を取れるようにやっていかなければいけないと思っています。
自分自身、久しぶりのゴールで、チャンスの数から言えば、もっと取らなければいけないと思っていました。今日決められたことは次に繋がるのでよかったと思います。
勝ち切れたことはよかったと思いますが、内容的にはまだまだ課題が残るし、失点の部分に関してはチーム全体で攻撃の意欲が少し薄れたところがあったと思うので、そこは次に生かしたいと思います。
相手も高い選手を入れてきたり、ロングボールが多くなってきた中で、もっとみんなでピッチ内で話して意思疎通を図って、いまどうするべきかということを考えなければいけなかった。ロングボールが多くなって守備意識が強くなってしまい攻撃のよさが出なくなってしまったことは反省点だと思っています。

●秋元陽太
後ろから見ていても少し探り探りかなという感じがあったんですけど、後半、セットプレーで得点が取れたことはよかったです。ただ、後半戦はより厳しくなるのかなということを感じさせられるゲームだったと思います。
(ビッグセーブもあったが?)あそこでしっかり守れたことはよかったです。ただ自分だけじゃなくてしっかりコースも切ってくれていましたし、セカンドボールも航(遠藤)が反応してくれたので、連動して守れたかなと思います。
失点のシーンは少しラインが下がってしまったのでああいう形になってしまった。まだまだ質を上げていかなければいけないと思いますし、練習からしっかりやっていきたいと思います。

●菊地俊介
相手のロングボールにうまく対応できなかった部分もあって自分たちのリズムでサカーができなかった印象です。
いつもより自分の頭の上をボールが行き来するような展開だったので、足元でボールを受けて縦にボールを入れるということはできなかったので、ボールを絡む回数も90分通して少なかったですし、難しかったと思います。
ある程度前からくるのは分かってたんですけど、あそこまでロングボールが多いのかなというのは、試合が始まってから分かったので、距離感などが遠くなったり、DFラインに吸収される時間帯も多かったので、自分の出来には満足していないです。

●遠藤航
後半戦は難しい試合が多くなると思うし、前半戦のようにうまくはいかないかなと思っています。難しい試合でもしっかりモノにしていかなければいけない。気を抜くことはできないし、より集中して臨まなければいけないと思っています。普段通り勝点3を目指しながら、より自分たちのやるべきことのクオリティを高めていかなければいけないと思っています。
対戦する中で、リトリートしてくるチームや、磐田のように前からくるチームもあったりする中、今日熊本はチームのプレースタイルというのを前面に出してきたと思います。それは予想通りでしたが、その中でももう少しアングルを作りながら簡単にワンタッチではたくということを、前半はサポートが遅かったり、持ちすぎて奪われるところもありましたが、後半はワンタッチで動かしながらチャンスメイクもできた。ああいう相手に対しても後半はビルドアップできていたと思います。
普段の練習もハイプレッシャーの中でボールを動かすということはやっているので、前半をしっかり凌げばチャンスがくると思っていました。
セットプレーはサッカーの中での大事な要素だと思うし、しっかり合わせられたことはよかった。難しい試合の中でああいうことができたのは次に繋がると思います。