監督・選手コメント

J2第5節 松本vs湘南 試合後 監督・選手コメント

【監督コメント】
●曺監督 総括
お疲れ様でした。
松本さんとやる時は2年前もおそらく2試合とも雨だったと思うんですけど、今日も天候の悪い中、たくさんのサポーターがゴール裏から後押ししてくれて、今日の勝利は90分プラスアディショナルタイムを頑張った選手とサポーターに送りたいと思います。

前半は予想通りと言いますか、松本さんが我々のよさを消しながら自分たちのよさを出していくというところに少しのまれてしまって、押し込まれる場面が前半の20分くらいまで多くて、どうなるかなと思って見ていたんですけど、そこでなんとか凌いだことで、チャンスをものにできたと思っています。
後半、うちも少し形を変えて、間でボールが収まるようにしたところでチャンスは掴んだんですけど、セットプレーの流れから1点をとられて、松本さんの思惑通りになりそうなところを、選手がそこで食い止めて、2点目3点目4点目という感じで、アグレッシブに自分たちのスタイルを貫いてくれたことは、本当に選手たちに感謝したいです。
我々は昨年そういうスタイルでやっていましたが、ちょっとの隙やちょっとのところで1点差負けを何度も経験して降格してしまった。その悔しさを忘れてしまってはいけないと、ずっと選手に言ってるんですけど、ここで今年また成長が見込めなければ、J1というステージには戻れないし、もし戻れたとしても、同じことの繰り返しだと思うので、選手たちがさらに成長できるように、もっともっといい選手になれるように、僕ができる最大限の働いかけをして、戦っていきたいと思います。

反町さんとは、2009年から3年間コーチとして携わらせてもらいました。
松本で本当に強豪のチームを作られたなという印象をずっと持っていたんですけど、今日の後半の1点をとられたあたりの集中力やボールに対する執着心というのは、松本さんが段階を経てチームを作っておられるなと思いますし、僕たちもそれに負けないようにどんどん前にいけるようなチームを作っていかなければいけないなと思いました。

●曺監督 質疑応答
–5連勝については?また得点を挙げた菊池大介選手について。

大介に関してはこの地で育った選手なので、この地で今季初得点を決めたことは、彼が今まで自分なりに悩んで、向き合ってきたことのご褒美かなと思います。
今日はボランチの俊介(菊地)と永木が1点ずつ取りましたけど、その前に大槻も決めてくれて。一人のストライカーが前線で残ってて、その選手に任せるサッカーをしているわけではないので、今はボランチが点を取れないと現代サッカーでは上に行けないという話をずっとしていて、やはり世界のボランチはペナルティエリアに入って、また戻るというのがノーマルだと。そういう意味ではそれぞれの良さが出たというのは、我々らしいゴールだったかなと思います。
5連勝については…、昨季は5連敗も6連敗もしたので、ちょうど五分の星に戻したのかなという感じです(笑)

–今季のJ2をどう見ているか?

全部を僕が把握しているかは微妙なんですけど、どのチームも勝つために最大限努力するというのは、当たり前ですけど、そのところは一昨年よりも上がってきていると思います。各チーム、アウェイに来るとサポーターの雰囲気やチームが持っている色をより感じられるように思います。松本もそうですし。
ただ、J2がどうこうよりも自分たちのスタイルやチームがどうなるかを大事にしているので、相手のスタイルに合わせて自分たちのスタイルを変えてしまうというのは、ゼロではないですが極力止めようと思っているので、そういうところが、気にしていないというか、自分たちのほうに矢印が向いているので。
(戦力的には)拮抗はしていると思います。

●反町監督 総括
非常に良いゲームをしたと思います。首位攻防戦ですからね(笑)。
3点目と4点目は選手のミスではなく、私のミスです。別に下を向くような内容ではない。結果は下を向かざるを得ませんけどね。要するにオープンな展開になると我々は勝てないということですね。まだ、そこまでの力はない。
まぁ、良い言葉が見つかりませんが、決して悲観する内容でもないです。ただ、ここぞという時に力を発揮できるチームと、ここぞという時に溜息で終わるチームの差はまだ少しあるかなと思います。
ミーティングの最後に「歴史のあるチームとJリーグで長い年月経っていないチーム。我々は失うものは何もない。ただチャレンジするのみ」と。その意味で最後は後ろを4枚にしてチャレンジしましたけど、そういう気持ちは出ていて、負けてよかったとはあまり言ったことはないんですけど、次に繋がると思いますし、選手も下を向く必要はない。点差はつきましたが、やれた感はあったと思います。
大事なのは次のゲームであって。ここから4試合、イコール開幕10試合でどこにいるかを検証していきたいと思います。頭を垂れずに準備をして、勝点3を取って帰ってこれるようにやりたいなと思います。

●反町監督 質疑応答
–クロスからの2失点については。

あの得点だけじゃなくて、先に触られてるというのがある。昨年も失点の60何%が横からのボールであって、それはいつも練習しているんですけど、スピードやフィジカルコンタクトは少し向こうが上でしたね。個の部分では向こうが1枚か1.5枚くらいは上だったと思いますね。次は同じような形でやられないようにするのが指揮官の仕事なのでよく反省して修正したいと思います。

–良い時間帯が続く中で得点を取れなかったことが大きかった?

そうでしょうね。それで取れるのが本当に強いチームですから。逆に言うと湘南は我々が前に圧力をかけた時にいきなり3点目を取れるわけですから、そこの力はまだまだだなと思いますし改善する余地があるんじゃないかなと思います。攻めている時にカウンターみたいなスペースに入れられてクロスを上げられたわけですから、犬飼も色々勉強したほうがいいですね。J1にいたチームとやると、彼だけではないですけど、少し注意力散漫なところが出てしまうのが、我々の現在地ですから。もっともっと勉強して経験を積んで、個人が強くならないといけないと思います。

–今季初の敗戦となったが収穫は?

反省することは反省しますけども、大事なのはどうやって負けるかであって、今日の負けはある意味、正々堂々と帰路についていいと思います。
こういう戦い方が1試合でも多く続けることができるようなチームになれば、上位争いに入ることができると自信を持って言えます。負けて自信持ってるとは馬鹿な監督だと思いますけど、本当にそう思っています。もちろん反省はしますが、良かった点もたくさんあったと思うんです。

–5-0で勝った前節と今節とで違いは?

フットボールはそういうものであって、勝っても向こうのミスに救われたとか緩いのに勝ってしまったとかいう試合も少なからずあるかもしれない。
やっぱり平均値を上げることが大事なんですよね。前節と今節では平均値は今日の方が高いと思います。ただ、当たり前だけど数字上は全く違うことになりましたけどね。平均値を上げるために、途中から入った選手も含めて明日も練習試合をしますが、これから選手層を上げていきたいと思います。

–この試合は引き締めになったのか?

皆さんが村山に「3試合無失点ですが」と話を聞くから、こういうことになるわけですよ。そういうインタビューをしなければ気を引き締めてやっているかもしれない(笑)。
常々勝ったから全部良かったということはないわけであって、ひとつひとつ検証しないといけない。今日はセットプレーでやられましたが、一度に2枚替えるとセットプレーのディフェンスが結構混乱するんですよね。誰がどうつくかなど、やることはたくさんあります。そういうところまで行き届いてやれると、初めて平均値が上がるということですね。ということで、村山には今度はもうちょっと良いインタビューをしてください。

–湘南のよさを消した場面もあったがチームが成長した部分を挙げるならば?

個がまだ強いとは言い難いんですけど、我々のようなJに参入して年月が浅く、JFLからやってきている選手の集合体は、色々な意味で勉強しながら成長、進化している途中だなと思います。そういうチームを率いていると、どうしても今日の前半のようなクローズなゲームをしていかないといけない。3失点目、4失点目が私のミスと言ったのはオープンにしたからです。オープンにするとこうなるということですね。その意味で2失点目は勿体なかったですね。そういうチームつくりをしないと、湘南に比べてなかなか日の丸をつけている選手も来ないですし、そういう中でもがき苦しみながら徐々にやらないといけない。少しずつ力は上がってきているとは思いますよ。その傾斜をなるべく急にするのが僕の仕事でもあるので。前半は悪くなかったですよ。どっちが湘南か分からなかった、ちょっとだけね(笑)。全く何も出来なかった試合ではないし、それは次に繋がると思います。

–かつて指揮していた湘南の選手たちを見てどうか?

菊池大介はご両親が長野にいることですし、あと2、3年したら、うちに引っ張ろうかと(笑)。J1という経験をして悔しい想いもして、菊池大介はサッカーに対して厳しさが少し出てきたなと思います。曺が今季はこれまでと違うポジションでやらせていることも良い刺激になっているのではないでしょうか。永木はカウンターで点も取りました。天然なところはありますがボックストゥボックスで走る力はあります。カウンターであれだけ走って、あの時間帯からあの低いシュートを打てる選手はうちにはいません。J1クラブからも誘いがあったようですが、僕が大学時代に強化指定をしたのでクラブに対する思い入れもあるんじゃないでしょうか。
ずっと相手の分析をする中で永木は行くタイミング、動かすタイミングと出て行くタイミングが経験からしてついてきた。あいつは後で挨拶に来ないと思いますけど、監督が誉めていたよ、と良いように書いておいてください(笑)。
航(遠藤)もユースの高校生の頃からJ1で使ってきて、最後は新潟戦でも点を取るようになりましたが、堂々としていますね。性格的にもディフェンダー向きの選手だと思います。彼はアンダーのカテゴリーでこれからもチームを引っ張っていく存在にならなければいけないと思いますし、もっともっと欲を出してやってもらいたいですね。
今言ったように、菊池も航もユースから来た選手。そういう選手を育てていく力はうちには残念ながらまだない。それがさっきの1枚、1.5枚上というところに少しかかってくる。我々も少しずつの整備をしていますが、そうなって初めてJリーグのチームだと思います。やはり自給自足です。

–今日の良いところ、足りないところを具体的に。

やろうとしていることがしっかり出来て、個人のタスクもしっかり理解してチーム戦術に乗っ取ってこなせたというのは全体的な良い部分です。足りない点はやはりアタッキングサードの最後の部分ですよね。アイディアとか向こうの方が余裕があるじゃないですか。うちはあっぷあっぷですよ。きっと彼らはJ1にいた事で、少しは学んだんだと思います。

【選手コメント】
●永木亮太
(ゴールについて)ファーストタッチがうまくいったので、思い切って狙ったら入ったのでよかったです。
立ち上がりは相手のリズムで、自分たちのボランチのところでも本当にプレッシャーが速くて、なかなか味わったことのないプレッシャーの速さでした。少し混乱してそこでボールを失ったり、リズムをつかみ取れない時間がありました。そこは反省しなければいけないんですけど、ああいう時間帯を耐えて、後半相手の運動量が落ちることは自分の中で分かっていたので、耐え時だと思ってしっかり耐えました。
こういう厳しい戦いを勝つことができてよかったです。
(5連勝については)優勝を狙っているので、この結果は少し喜んで次の試合がすぐにくるので、切り替えてやっていきたい。その繰り返しだと思っています。
昨年、J1でやった経験というのは、確実に今年に活きていると思います。レベルの高い相手だと、本当にひとつのミスでやられてしまう。まだまだそういう意味では反省点もあるので決して満足はできないですが、J1のレベルでも戦えるなという実感を、J2の中でも自分たちで感じとれれば、もし1年で上がれたらその後もいい結果をJ1で残せると思います。

●大槻周平
1点を入れられて同点にされたんですけど、全然焦ることはなかった。僕らのサッカーができれば絶対に点が取れると思っていました。
(ゴールは)本当にいいボールがきたので、決めるだけでした。前半、ニアにつっこんだ時に相手もきたので、ニアに逃げてファーに逃げるという動きをすればいけるかなと思っていました。うまくハマってくれたので駆け引きで勝てたのはよかったと思います。
(5連勝については?)勝った時こそ、謙虚にやることが大切だと思うので、次の練習から次の試合に向けてやることがまた勝利に繋がると思うので、練習から一生懸命やりたいです。

●菊池大介
(ゴールシーンについて)来る予感がしたので、思い切りニアに走ったら、本当にいいボールが来たので、けっこう難しかったですけど、うまく決まってくれてよかったと思います。
(ゴールの前からいい雰囲気が漂っていたが)最初の時間帯、相手にゲームを支配されて若干苦しい時間帯が続いていたんですけど、なんとか自分のドリブルだったり、思い切ったプレーで自分たちの流れを引き寄せたいと思っていたので、ドリブルやああいう点など、うまく自分たちの流れに引き戻すことができたのかなと思います。
正直、得点に対しての焦りはありましたけど、でも今日こうやって点を取れたので、いい気持ちだったりいいコンディションで次も迎えられるかなと思います。またしっかり練習して頑張りたいと思います。
(得点シーンはどのタイミングで前に突っ込んで行った?)周平くん(大槻)がもう追いつくなと思った瞬間に行かなきゃと思って、全力で走って行きました。うちの人数はあまり多くなかったと思いますが、ピンポイントというか、スペースにいいボールを流してくれたので、しっかり面をつくって当てることだけ意識して狙いました。
(アルウィンでの試合は)中学時代はいつも準決勝で負けてしまって、ここでやるという目標は叶わなかったので、こうしてJリーグでプレーできるというのは幸せなことだと思っています。
反町さんにもお世話になっていますし、中学時代にお世話になった方が見に来てくれた場所で勝利できたということは自分にとって大きいので、次に向けて自信にしたいなと思います。

●丸山祐市
(1点目に繋がったパスについて)少し持ち味が出せたかなと思います。左に二人、ウェリントンと武富がいて、右に大槻がいたんですけど、引っ張ってくれたので、スペースに流し込んだほうがいいなと思って出して、あとはうまく前の選手が決めてくれました。
(相手は2トップだったが?)特にやりにくさはなかったですし、うまく両サイドと声を掛け合って対応できたと思います。
最初から自分たちのサッカーができればよかったとは思いますが、風が向かい風でしたし下がスリッピーだったので、繋ぐこともできたかもしれないけど、リスクもあったので押されるような形になった。でもああやってガンガンくることは分かってたので、前半はしっかり耐えようと声を掛け合っていました。その中でのあの1点だったのでよかったです。

●秋元陽太
(ビッグセーブが光りましたが?)いえ、やっと力になれたかなと。前節の2失点があって、その失点に対しての練習を続けてきました。1本止めたシーンも、ああいう飛び出しも意識していました。この1週間、個人的にも山雅の映像をずっと見ていましたし、常に1週間ずっと意識してやってきたのでそれが結果に繋がってよかったと思います。
相手の圧力がある中だったしあの雰囲気だったけど、みんなのまれることはなかった。カウンターからの亮太(永木)の3点目とか、あの時間であれだけ走れるって本当にすごいな、と。後ろから見てて“すごいな”って感心しました。
(相手の時間帯も落ち着いていたが?)ああいう攻め込まれた時に、後ろがバタバタしてしまうと連鎖してしまうので。みんな落ち着いていたと思います。僕自身、雨だからといってビビるようなこともなかった。1点入れられた後のピンチもみんなで防げて、そこからさらに追加点を奪えたので、みんなの力だと思います。
僕のセーブも、みんなが頑張ってくれるからこそなので、みんなに感謝したい。毎試合、複数得点をとってくれることも本当に有難いです。

●菊地俊介
(プロ初ゴールについて)ラッキーなゴールでしたけど嬉しかったです。サポーターが近くにいたのでより嬉しかった。
前半、相手はすごく前からきていたので、押される時間が長かったのできつかったんですけど、先に点がとれたことは大きかったです。後半、相手は運動量が落ちるかなと思っていました。実際に後半は自分たちのリズムでできる時間が多かった。相手よりも走れていたと思います。
歓声が大きくて周りの声がよく聞こえなかった。チームとしても今までの相手よりも一番前からきたし、ロングボールも蹴ってきたので、やりにくかった。ただ、ロングボールを入れてくるのは分かっていたので、しっかり対応できていたと思う。終盤になっても走り勝てたし、みんな最後まで前に出ていく姿勢を惜しまずに出し切ったということはよかったと思います。