ボイス

【ボイス:2018年2月16日】秋元 陽太選手

J1の高いレベルで存在感を
練習から意識していく
「勝ったことで印象に残っている試合がないせいか、僕が良かったと思える試合はないんですよ。必死すぎて、負けた方が印象に残っちゃう。失点してしまったとか、悪いところはすごく記憶に残っているんですけど、良かったところはあんまり覚えていなくて、勝って終わって『ああ、終わった』みたいな感じだったんで。

 ビッグセーブも多かったが、それは2016シーズンに感じた課題をクリアするために意識して試合に臨んだ成果の一つだ。

「FC東京では1年間、チームを救うプレーというのが本当にできなかったと自分自身思っているので。そういう部分で今年、J2を勝ち抜くためには、試合中に絶対にある何本かのピンチを止めようと思っていた。そこで止めるか止めないかでチームを勢いに乗せたり、信頼を得ることに繋がったりするので。本当に強い気持ちで臨みました」

 また、再加入ながら、2017シーズンもゴールキーパー陣を代表してフルタイム出場を果たした。

「キーパー陣は一つのチームです。タンドウ(ベラピ)がいて後藤(雅明)がいて、伊藤(剛選手:福島ユナイテッドFC)は途中で移籍しましたけど、その分、幸太(真田)がユースから来て。僕が一番思っているのは、僕が原因で若い選手にストレスを溜めないでほしいということ。僕が試合に出ているからって後藤たちが萎縮してしまうとか、そういうストレスは溜めて欲しくないんです」

 1つしかないポジションを争うキーパー陣。しかし、練習は互いに助け合わなければできない。先輩をリスペクトするあまり萎縮したり、遠慮したりしてしまう選手もいる。なぜなら、自分自身がそう感じてしまったことがあったからだ。

「タンドウは、経験も豊富ですし、自分のなかでゴールキーパーがどうあるべきかをしっかり構築している選手です。でも、後藤はまだ、そういったところが構築できていないかなと感じることもあった。タンドウがケガをしたときにはずっとベンチで一緒にやってましたし、そういうところで僕に遠慮して欲しくなかったので、気を遣うとかではなく、普通にフランクに接するようにした。ずっと一緒にいながら、年齢や経験に関係なく一つのポジションを争うわけなんで」

 全試合フル出場もまた、自分のためであるのと同時に、後輩にゴールキーパーとしての姿勢を見せるためという思いがある。

「そういうのを見せることもみんなの成長のためにもなるのかなと思って。あとはやっぱりゴールキーパーが安定してないとJ1昇格というのは難しいと、J2で何年もやってきて思っていたので、そこは本当に意識しました。キーパーのミスで失点することもあると思うんですけど、チームを落ち着かせるっていう部分では、それが続くと良くないので、ミスがあったとしてもどっしりと構えてやっていくことを大事にして」

 間近に迫ったJ1での戦いを楽しみにしている。

「個人的には、J1のレベルの高い舞台で、どれだけ自分の存在感を示せるか。それがチームにも影響すると思うので。シーズンが始まったときから1本のシュートを止める、その1本を止めるために何が必要なのかをしっかり意識して練習に励むことが大事なのかなと思う」

 2018シーズンだけではなく、その後もベルマーレがJ1の舞台で戦い続けるために。2017シーズン以上の存在感を示す覚悟はできている。



取材・文 小西尚美
協力 森朝美