ボイス
福島の公式戦をBMWスタジアムで開催 会場変更に関する記者会見
福島ユナイテッドFC GM 竹鼻快氏
皆さんこんにちは。本日は福島ユナイテッドのホームゲーム会場変更の記者会見にお越しいただきありがとうございます。
私、福島ユナイテッドでゼネラルマネージャーを務めております竹鼻です。よろしくお願いします。
はじめに、私のほうから簡単に今回の会場変更にいたる経緯と趣旨のほうを説明させていただきます。
まず、ホームゲームの会場変更を行うのは2013年6月30日日曜日、午後1時より佐川印刷SCさんと対戦する試合でございます。本来、福島市の我々が中心で使っている信夫ケ丘陸上競技場で予定をしていましたが、日時に変更はないのですが、会場のほうを湘南ベルマーレのホームスタジアムである、Shonan BMWスタジアム平塚のほうに変更をさせていただきます。
変更にいたる経緯ですが、また代表の鈴木のほうから詳しくお話させていただきますが、福島は震災から数年経った今でもたくさんの方が県外に避難をされていたり、風評被害によって物産、また観光のほうもまだまだ困難な状況にあります。福島ユナイテッドもおかげさまで今シーズンからJFLと、全国リーグのほうにステップアップすることができまして、福島を代表するチームとして頑張っていこうとやらせていただいていますが、まずは先ほど言ったようなところで何かクラブとして役に立つことはないかというのは常日頃取り組んでいます。
今回、こういった関係各所のご協力を得て会場変更させていただくことになりましたが、ひとつは関東だけでもたくさんの方が避難をされています。そういった避難されている方たちを対象に、まずは福島ユナイテッドの試合を見に来てもらいたいと考えました。なかなか、関東から福島まで観に行くとはいかないけれど、Shonan BMWスタジアム平塚であれば足を運んでいただきやすくなるという面もありますので、県外避難者の皆様の招待事業というものを実施させていただきたいと思います。
それから、湘南ベルマーレさんと1月からクラブ間の提携をし、新しい取り組みにチャレンジさせていただいていますが、その流れの中で選手も2名、吉濱遼平選手、白井康介選手が期限付き移籍をしております。また、監督の時崎もベルマーレで6年間プレーをしたOB選手であります。そういったこともございますので、ぜひ湘南のベルマーレのサポーターの皆さんにもスタジアムに足を運んでいただいて、我々のほうでも物産それから観光のブースを展開して湘南地域の皆さまに、福島の元気をPRできればということで、こちらの試合を開催させていただくこととなりました。
簡単ではございますが、経緯と趣旨のほうをご説明させていただきました。
それではまずは福島ユナイテッドFC代表取締役の鈴木勇人から皆さんにご挨拶させていただきます。
福島ユナイテッドFC 代表取締役 鈴木勇人氏
あらためまして皆さんこんにちは。本日は記者会見にご出席いただきまして本当にありがとうございます。
日頃から、福島ユナイテッドそして湘南ベルマーレを応援をいただきましてありがとうございます。
今、GMの竹鼻のほうからお話しがありましたとおり、この度日本フットボールリーグの6月30日の試合をここShonan BMW スタジアム平塚で開催することが決定をいたしました。
本来であればホーム福島で開催するという予定でございましたが、今、われわれは昨年震災を乗り越えまして「福島に元気を」という合言葉のもとにJFLに昇格を果たしました。今現在、JFLで全国各地で試合をさせていただいておりますが、各アウェイの会場でも、必ず県外に避難をしているご家族がうちの試合に来ていただいて、かつ福島のTシャツとかユニフォームを着てですね応援をいただいております。これは我々が全国区になったという存在意義を非常に今強く感じているところであります。
また、今回のこの会場変更に当たりましては、サッカー協会そしてJFL、そしてJFLに所属するチーム、そして今回事業提携をしております湘南ベルマーレ、またスタジアムの皆さまに大変ご理解をいただきまして、このような形でホームゲームの開催場所変更という形をとらせていただくという運びになりました。
我々は今、なかなか厳しいゲームが続いておりまして10位につけていることろでございますが、どこの会場に行っても、「福島の元気のために頑張れ」と、勝っても負けても応援をいただいているという状況でございます。
今の福島の現状を若干説明をさせていただきますと、なかなか震災そして原発事故の影響が払拭できない状況でございまして、特に農作物そして水産業の風評被害がまだ著しく残っております。
そしてまた、県外に避難をしている方も多くいらっしゃるということで、我々は何とかその福島の想い、我々の元気をお伝えをして、福島に戻っていただけるようなきっかけ作りができないかと思っています。
そして、風評被害の払拭にあたりまして、できればこの関東の会場で農作物あるいは、さまざまな物産のPRをしたいと思っております。また観光も、今NHKの大河ドラマ「八重の桜」がありますが、会津地方は今にぎわいつつありますが、他の地域というのは観光が非常に疲弊しております。その辺りも我々の試合でPRをさせていただいて、福島は安全だよと、ぜひともお越しくださいという場にできればいいという想いで、今回の開催が実現した次第でございます。
これにつきましては、福島県、そして福島市、サッカー協会あるいはわれわれのスポンサーでありますJA全農福島を通じまして、皆さまに福島のPR、そして農作物のPR等をさせていただきたいという風に考えております。ぜひお近くの方、あるいは関東近辺にお住まいの方にふるって応援に来ていただきたいと思っております。
今、福島の我々のホームゲームの会場は除染で芝をはがし、今シーズンは試合ができない状況になっています。あづま陸上競技場という所ですが、そのため今われわれは信夫ケ丘陸上競技場ほか会津若松、そして鏡石や田村市、さまざまな場所で今試合をさせていただいています。ここでも試合の前には、子どもたちのふれあいサッカー教室等を地域の方々と開催をしながら、とにかく福島に元気が戻るように、そして子どもたちに笑顔が戻るような活動をしております。
今回のこの平塚開催でも同じような形で、県外避難者の招待事業として、がんばろう福島スペシャルマッチのような形で開催をしたいと思っております。簡単ではございますが、ご挨拶と現状の報告とさせていただきます。ありがとうございました。
竹鼻氏
当日の試合運営、それから湘南地域での集客は、現在も提携の中でチームの強化や我々のホームゲームの運営、それからグッズ販売、プランニングというところで、色々と助けていただいています、湘南ベルマーレの協力を得て行われます。
湘南ベルマーレ 代表取締役 眞壁潔
座ったまま失礼いたします。試合前のお忙しい時間にありがとうございます。もう福島さんとのお話は何度もしているので、話は重なるかもしれませんがいろいろな形で福島をサポートしていきたいと思っています。
何人かの記者の方にはお話をしたかもしれませんが、最近映画の「ダイハード」を見に行きました。最後、決戦の場に車を飛ばして行くんですが、決戦の場がチェルノブイリなわけです。
向かう車の中でオヤジが息子に「本当に行くのか」と。「チェルノブイリはできれば行きたくない」ってジョークで言うんですけれど、何年前ですか?チェルノブイリは。27年前です。27年経ってもですね、チェルノブイリといった単語はそうやって使われてしまうのかと。
私は自分の仕事で海外に行くこともあるんですが、やはり福島というのは完全にそういう発信をされてしまっていて否定しきれていない。これは、たらればの話ですけれども、もしチェルノブイリにサッカークラブがあって、チャンピオンズリーグに出たら、多分世界中の人がチェルノブイリという街はもう元気になったんだなと思うはずです。福島さんにとってのACLあるいはJリーグでの活躍というものが、情報として必ずや世界に発信されていくんじゃないか思っています。
そんなことを、21年目のスタートを切ったJリーグのひとつの社会貢献として、長く続いていくための新しいスタートになるのではないかと思います。ぜひ皆さんでご支援いただけたらと思います。よろしくお願いします。
質疑応答
Q:県外避難者を招くということだが、例えば何人くらいでどういう形で行うのか?
A(竹鼻氏):今、具体的に決まっていますのが、福島県のほうで、住所などを把握している県外避難者の方たちに、広報誌を郵送で送っていますが、県のご協力を得て、6月の上旬に届く広報誌の郵送物の中にこの試合のチラシを同封していただきました。このチラシを持ってきていただいた方には、会場のほうで招待券と引き換えをさせていただく、というのがまず一つでございます。
これが全国に避難している方皆さんにお送りさせていただく形になり、だいたい1万7千件くらい、人数にするとご家族含めて約5万人近くの方がいらっしゃいます。神奈川・東京で約1万人くらいということになりますので、こちらを使って招待という形を取らせていただくというのが主な招待の方法になります。
Q:物産の販売とは具体的に何を売りたいということか?
A(鈴木社長):今、JA全農さんと協議をしながら、まずは福島のお米、あるいは野菜関係ですね。まだ風評被害が続いているという形になります。本来であれば、福島は牛乳が50%くらいの売り上げしかまだない状況なのですが、ただ生ものですので、これはちょっと厳しいかなという風に思っております。やはり福島のお米や農作物が中心になるのではないかなという風に思っております。まだ協議中でございます。
Q:この試合の運営は全部福島でやるのか?
A(鈴木社長):ベルマーレさんに協力をいただきます。
Q:ホームでは開幕戦で1795人集まったが、400人が2回、300人が1回、だんだん減ってきているが今後の見通しは?
A(竹鼻氏):開幕戦と2試合目までは千人台で、その次というと、言い訳にはならないんですが、非常に天気が悪くて大雨、雷で試合が中断になった試合なんですね。その後が、4月だったんですけれども、まさかの大雪で試合が中止になりました。平日の昼間に1試合代替で挟んだりということもあって、一概には言えないんですけれども、非常にそのダメージというのが大きかったなと。
A(鈴木社長):非常に大きいです。ただ会津の試合では1千を超えましたので、これからの戦いぶりが一番大事になってくるかなと思っております。やはり我々としてはJリーグを目指す上では平均3千名を目標に、頑張っていきたいと思います。また、個人のサポータークラブの増強について今、福島の商工会議所と一緒にキャンペーンを張る予定でして、この6月から、本当に皆さんに足を運んでいただけるような展開をしていきたいと思っています。
Q:開幕戦で町田に勝ってすごい粘り強いチームだと思って、あの時はびっくりしました。
A(鈴木社長):ありがとうございます。できればその調子でいきたかったんですけれども。今まで、特に昨年はですね、とにかく福島のために絶対に諦めないという気持ちが他のチームを圧倒してたんじゃないかという現実と、ひとつランクが上がったことでの良い時と悪い時の、その辺の差が今、なかなか埋められないのかなと。もう少し時間が経ってくれば、特に湘南の方から期限付きで来ている二人の選手がもっともっと活躍してくれるんじゃないかなと思いますし、それに奮起して全体が一丸となれればいいなと思います。
Q:県外の避難者の方に見に来てもらうということで、どんな試合を見てもらいたいか?
A(鈴木社長):まずはやはり合言葉が「福島に元気を」ということですので、本当にアグレッシブに、球際も含めて決してやっぱり諦めない、最後の最後まで戦い抜く姿勢という姿勢を貫きたいという風に思っています。監督・選手含めてやってくれるというふうに確信をしています。
取材・文 小西尚美
協力 森朝美、藤井聡行