ボイス
【ボイス:2019年6月11日】山﨑凌吾選手
さらなる飛躍を期する
「自分は、まずはボールをもらうところのポジショニングを一番意識しています。そのポジショニングによっていいところでボールを受けられればシュートも打てるし、ドリブルもできるし。どこがいいポジションかというのは、それはもう自分の感覚なんですけど。相手のディフェンスから遠ざかって、ちょっと降りてスペースでもらうのもそうだし、裏に抜け出すタイミングもそうだし、あとは自分と味方との阿吽の呼吸でやってるところもあります。状況に応じて、相手が嫌なことを常に考えて、相手が怖いと思うことを常にやってやろうっていう意識でプレーしています」
山﨑選手にとって特に重要なのがポストプレーだ。
「タイミングですね、早すぎてもダメだし遅すぎても相手にカットされるし。そこのタイミングと、あとは自分がポストに入りますけど、その時に周りを見て、空いてるスペースに味方の選手がいるんだったらそこにワンタッチで味方を加速させるような落としをするとか。こう、スペースを見て動いている感じはあります、自分の中で。説明するのは難しいんですけど、ポジショニングはすごく大事だと思います」
感覚やタイミングというが、その感覚やタイミングを掴むに至るまでに積み重ねた道のりは決して短くはない。ポジショニングを大切にすることを最初に学んだのは、以前に在籍した徳島ヴォルティスを率いるリカルド ロドリゲス監督のもと。
「リカルドが攻守にアグレッシブなサッカーを目指していて、そのなかで練習の時からいろんなことを教わって、自分自身プレーの幅がすごく広がったかなと思います。
ポジショニングについては、状況に応じてですけど、相手に見られるポジションを取るなとか、相手と相手の間に立てとか。状況が変わったら相手を背負うプレーも必要なこともあるし。それは練習中から場面場面に応じてすごく言われて。それで試合でそれが表現できるようになっていきました。
リカルドは、人間的にすごく熱い監督で、サッカーについて勉強熱心な方でした。僕はリカルドに出会ってから、サッカーの見方が変わって、自分の持ち味もより出せるようになった。リカルドと一緒にサッカーができたことは本当に大きかったと思います」
大きな武器を得て、2017シーズンは徳島で34試合に出場して14得点を挙げている。
「いや、でも2トップを組んでいた渡(大生選手・サンフレッチェ広島)が23点取ったので、全然大したことはないんですけどね」
山﨑選手が人を活かすプレーと得点を挙げることは両立できるはず、と考えられるのは、この経験があるからかもしれない。
チームが変わっても、ポジショニングの大切さは変わらない。とはいえ、サッカーのスタイルが変わったことで、感覚やタイミングを修正する必要はあった。
「徳島と湘南のサッカースタイルがちょっと違うので、湘南に来たばかりの頃はすごく戸惑いました。湘南は、縦の意識が強くて、ボールが入ってくるのがすごく早い。徳島は、後ろでゆっくり回しながら前に当てていく感じだったので」
昨年の夏の移籍でチームに加わったが、登録後はすぐにリーグ戦に出場し、移籍したてとは思えないプレーで順応性の高さも示した。戸惑ったという言葉は意外な印象だ。
「それは、周りに助けられました、すごく。みんな僕の特徴をわかってくれて、僕をのびのびさせてくれた感じがありました」
再びの夏が目前となった今、戸惑うことは何もない。むしろ理解が深まったことで周りを活かす中心のプレーヤーとなっている。
「今年は、チームに『加速』というテーマがあるので、曺監督からは去年以上にワンタッチで味方を活かす場面だったり、ときには裏に走って味方が追い越してきたところにボールをつなげたりということをすごく要求されています。湘南はボールが前にどんどん入ってくるので、そこで起点になることもそうだし、収めて周りを活かして攻撃を加速させてくれということも言われています」
1つの出会いが成長を促し、その成長が次のステップを引き寄せる。そして、求められるレベルが上がるほど成長速度も日々加速していく。