ボイス
【ボイス:2018年7月31日】野田 隆之介選手
厳しい環境を求めての移籍
練習が足りなくなった原因はケガ。2013シーズン終盤に負ったケガが長引き、2014シーズンから在籍した名古屋グランパスでは約2年間、練習に合流できず、3年目のシーズンも満足に出場機会を得ることはできなかった。そうした状況のなかでベルマーレに移籍して来た結果、昨年は多くの苦しさを味わうこととなった。
「とりあえず、身体が動かなかったです」
昨シーズンも、試合に出場すれば、ストライカーとしての期待値がうかがえるプレーを端々に観せていた。しかし、周囲から確かな信頼を築くまでには至らなかったのが正直なところだろう。
「2年のブランクがあったことで、サッカーの本質というか、一番大事な『走る』ということを忘れてしまった。そこには、名古屋といえばやはりビッグクラブで、その名古屋がケガをしていても自分を取ってくれたっていう、なんか変な自信が生まれて勘違いしてしまったところがある。ケガが治ってサッカーをもう一度始めて、そのままの気持ちで湘南に移籍して来て、いい意味で、そういうものを全部、崩された。去年は、大事なものを思い出すために1年を使った感じ。戦術とかも徐々には理解できたんですけど、身体はついていかないみたいな感じのときが多かったですね」
移籍したシーズンは、そのチームが志向するサッカーを理解するための時間も必要だ。新しいサッカーとの出会いは、これまでの常識が通用しない場合もあり、理解し、実践するまでには苦労する選手も少なくない。野田選手はまず動かない身体にいらだった。
「よく曺さんにも怒られました。印象に残っているのは、ゴール前の大事な場面で軽いプレーをして。自分でもやったときに『ああ』って思ったんですけど、それを言われたりしました。美しくいえば、『それがあるから今がある』って感じですかね。でもそのときは、死にたくなるくらい辛かったです」
それでも結果的に曺監督のそうした言葉に救われていることを自覚している。
「本当に呆れられたら、他のチームだったら声もかけてくれなくなるので。曺さんは自分の悪いところを指摘してくれる。それは僕だけじゃなくて、みんなに、温度変わらずに。よく見てるし、言葉とかも聞いているし。僕も2チームしか経験はないですけど、選手全員に声をかけてくれるのは、珍しいと思います」
ここまで来るのに1年かかったが、いまは前に進むことだけを考えている。
「多分、もともと走れない方ではなかったと思います。鳥栖の時もやれてたし。去年は『きつかった』しか覚えてないけど、去年と比べたらちょっとずつできるようになったのかなって思えますし。そう考えると、身体が湘南になってるのかなって思います。きつい練習の方が合ってると思います」
8月が目前となったいまは夏も盛り。暑さを吹き飛ばす野田選手の熱いプレーに期待したい。