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【ボイス:2015年12月11日】秋元陽太選手 [2]
念願のJ1復帰。リーグ戦はすべて先発の座を勝ち取り、途中のアクシデントでハーフタイムに交代した1試合を除き、全試合に出場した。その経験の中で感じたのはやはりトップリーグのレベルの高さだ。
「やっぱりフィニッシュの精度とかは全然違いましたし、1回取られた後に取り返すっていうのはまた難しい。簡単にボールを奪えなかったり。でもJ1でやりたいという思いも強かったし、それがJ1っていう覚悟はして臨んでいたので。だから驚きはなかったですけど、やっぱりフィニッシュの精度の高さっていうのは、改めて痛感しました」
戦いぶりを振り返ってみるとホームで迎えた開幕戦は落としたものの、第2節にはアウェイで強豪の鹿島アントラーズに勝利。手応えを掴んだように見えた序盤戦となったがそう簡単にはいかなかった。
「1stステージは個人的にもチームとしても苦しんだ時期があったんで、そういうときにやっぱりいろいろ考えさせられた。何が足りないのかを自分なりに。個の能力が高いJ1で、それをいったいどう防ぐのかとか。シュート1本を止めるメンタルとか。チームを落ち着かせなきゃいけないのに自分が弱気になってバタバタしちゃうということも多少なりあったので、そういう部分を反省したりしました」
リーグ戦に限ってみれば、13の勝ち星と12の敗戦と分けた試合が9つ。年間では8位という成績だ。その戦いの中で最も強さを感じた相手はというと、
「どのチームもそうなんですけど、今年は鹿島(アントラーズ)がすごく強かった。その相手に勝てたこともまたすごいなと思うんですけど、アウェイの試合は特にほぼ攻められた印象しかない。ホーム最終戦も2点先制したんですけど後半は怒涛のように攻められて。この前(11月15日)練習試合をしたときもそれは……。
やっぱりボールの持ち方とか戦術がしっかりしているので、スペースに入ってくるとか相手の嫌なことをやってくる。どのチームも対戦後は疲れましたけど、もうホントに『うわぁ』ってなったのは鹿島ですね」
勝ち点3を得ながらその相手に強さを印象づけるのは、真に強いチームのなせる技と言えるだろう。こういった戦いを経るなかで改めて感じたのは、ゴールキーパーに求められるプレーとその意味。
「『ここ1本』を止めるとチームの流れが変わるっていうのがわかってきて、逆にそれができないとチームは勝てないと思った。自分のセーブが勝敗を左右するっていうことを改めて自覚して臨むようになりました。
やっぱりJ1を戦ううえでゴールキーパーは安定していなければいけない。そういった部分で最初の10試合くらいはバタバタしたことも多少あったので、まだまだ個人的に満足できた試合はなかった。でもその経験があったからこそそのあとの試合で落ち着いて臨めて、それが2ndステージに繋がったのかなと思います」
改めて自覚しなおしたことによって自分自身への要求もさらに高くなった。
「他のチームのゴールキーパーを見ていても、その1本を止めたからチームが勝てたっていう試合は何試合かあったと思う。逆にそこでやられていたらそのあとチームは盛り返せなかったり。そういう試合を見たりして、そこから自分が感じたっていうのはありました」
誰にとっても秋元選手こそがまさに「守護神」と感じた試合が何試合もあったはずだが、自分自身にとっての「この1本」は「まだ」という。
「後々いろんな人に『あのセーブがあったから』と言われると、それはやっぱり『良かったな』と思います。でもそれが勝ちに繋がった試合もあれば、僕がちょっとミスしてやられたっていう試合もある。チームに貢献できることが一番いいですけど、まあ、毎試合いっぱいいっぱいでした」
それでも、今シーズンの好調を受けて代表に推す声もチラホラあがっている。が
「まだ全然足らないと思います。やっぱり、その『勝敗を左右するくらいのセーブをする』っていう存在感がもうちょっと必要かなと。オーラとか。それは多分自信から出てくるものじゃないかと思います」
来シーズンは、その自信を手に入れるシーズンにしたいところだろう。